第5回高校生直木賞(同実行委員会主催、文部科学省ほか後援)の選考会が、2018年5月6日13時より、参加校25校によって、株式会社文藝春秋(東京都千代田区)にて行なわれ、彩瀬まるさんの『くちなし』が受賞作として決定いたしました。
参加者 市川高等学校(千葉県)2年 稲葉あすかさんのコメント
はじめは『月の満ち欠け』を推していましたが、議論を聞いているうちに『くちなし』のおもしろさがフラッシュバックし、最後は『くちなし』を推しました。大納得の結果でした。『くちなし』はグロテスクさと美しさが両立されていて、その描写に魅了されました。本好きでも、なかなか友達と本について話す機会がないので、それぞれ感想を言い合うのは良い体験でした。濃厚な時間が過ごせました。
高校生直木賞実行委員会 代表 伊藤氏貴氏のコメント
当初、候補作の選定段階では5作が拮抗する中、『くちなし』が少しだけリードしていましたが、最後までそのリードを守り切りました。ただ、議論は非常に白熱し、はじめ『くちなし』を推していたものの、他の人の話を聞く中で意見を変えた人もいて、二次投票で過半数を得られず、三次投票では『火定』と同数で、四次投票までもつれこみました。激しくも深い議論は、大勢いたオーディエンスの心にも火を付けたと思います。それぞれの学校に戻って、さらにこうした読書の輪が広がることを願っています。
高校生直木賞とは
「高校生直木賞」とは、全国の高校生たちが集まって議論を戦わせ、直近一年間の直木賞の候補作から「今年の1作」を選ぶ試みです。
フランスには、読書教育の一環として25年以上にわたって行われている「高校生ゴンクール賞」(毎年2000人を超えるフランスの高校生たちが参加し、権威ある仏ゴンクール賞の候補作の中から自分たちなりの1作を選ぶ)があります。その日本版を目指して2014年5月に第1回が開催され、『巨鯨の海』(伊東 潤)が受賞、2015年は『宇喜多の捨て嫁』(木下昌輝)、2016年は『ナイルパーチの女子会』(柚木麻子)、2017年は『また、桜の国で』(須賀しのぶ)が選ばれました。
第5回となる今回は過去最多の全国25校が選考に参加しています。