作品
薩摩討つべし。奥羽列藩を襲った、幕末狂乱の嵐のなかを、討薩ただひとすじに奔走し倒れた、悲憤の志士雲井龍雄。その短く激しい生涯を、熱気のこもった筆で描く異色の長篇歴史小説。
稀代の浮世絵師・喜多川歌麿。好色漢の代名詞とされるが、その実人生は意外にも愛妻家であったという。この作家ならではの独自の手法と構成とで描きだされる人間・歌麿の素顔。
生涯、二万に及ぶ発句。一方、遺産横領人という消しがたい汚名を残した男。俳聖か風狂か、あるいは俗事にたけた世間師か。稀代の俳諧師の複雑な貌を描き出す傑作伝記小説。(藤田昌司)
武家の非情な掟と規矩の中で生き、そして死んでゆく者たち。歴史の片隅に葬られた小さな事件を、透徹した史眼で再編成した全六篇
第二巻に並んで、この著者ならではの、市井小説集。語りすぎず、かつ黙さず、いわゆる“藤沢調”として称賛される独自の小説世界
市井物語、股旅小説。裏店住いの名もない人々の歓喜と悲哀を、曇りない眼で捉えた、明澄な人生絵図。表題作品の他八篇を収める
世評高いこの作家の短篇小説を精選、四巻に集成。第一巻たる本巻は、士道小説の傑作十一篇。端正緻密、人生通の大人の読物である
好評の「孤影抄」の姉妹篇。酒乱剣、盲人剣など剣の遣い手はさらに多彩。この著者独自の深い陰影に彩られた異色の時代小説秀作集
不敗の秘剣を知る故に悲運に見舞われる剣客たち。新感覚の剣客小説として雑誌掲載の折から絶賛されたシリーズ。著者会心の話題作
十代将軍・徳川家治の治世、八嶽党と名乗る謎の徒党をめぐる凄絶な暗闘。本格時代小説の復権を求め久々の登場。一千枚の力作長篇
直木賞受賞作「暗殺の年輪」をはじめ、北斎晩年の暗澹たる心象をえがく処女作「溟い海」、加えて「ただ一撃」「黒い繩」「囮」を収める。藤沢調といわれた記念碑的作品集。(駒田信二)
藩上層部の権力争いの陰で微禄の平侍を翻弄する苛酷な宿命。端正な文体と緻密な構成で本格時代小説の新境地を示す。直木賞受賞作
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