作品
作家の生活と創作の秘密を公開しつつ“日記体の文学”へと昇華させた表題作ほか、晩年の内面を窺わせる随筆を精選。解説・佐原真
軍医総監と文豪。鴎外の二つの像を独自の視座から描いて遺作となった表題作に、「暗い血の旋舞」「形影」を併録。解説・沼野充義
国際駅伝に賭ける男と復讐を誓う女が交錯する「詩城の旅びと」。エイズが蔓延する近未来を描いた「赤い氷河期」。解説・菅野昭正
再起を期する男が高圧線下野の長い土地に着目する「数の風景」。集まるカラスが“完全犯罪”を暴く「黒い空」。 解説・小笠原賢二
霧のテムズ川に吊るされたイタリアの銀行頭取を目撃した二人の運命は?取材日記「P2マフィア迷走記」を併録 解説・徳岡孝夫
迎賓館で一夜を過ごした可南子が撮ったのは、日米極秘首脳会談の証拠だった!国際政治の暗部を抉るサスペンス 解説・佐野洋
将軍吉宗を悩ませる怪文書。投書の主を探す奉行所同心は、世継ぎの血の秘密をめぐる暗闘に巻きこまれていく……解説・川本三郎
軽井沢で殺された外国婦人はマレーシアの密林に消えたタイ・シルク王の妹だった。熱帯蝶の標本が二つの事件を結ぶ。解説・深田祐介
「あれの処理はまかせるよ」——言い遺して次期首相候補の秘書が死んだ。貸金庫に秘められた執念が政界を揺るがす(解説・中島誠)
官途に精励し軍医総監まで昇りつめた鴎外。飽くなき創作意欲で文豪の名を恣にする鴎外。二つの像を独自の視座から照射する評伝
元老西園寺公望、謀略家スパイMなど、強烈な個性の晩景を見事に捉えた珠玉の連作短篇小説。「老公」「モーツァルトの伯楽」「ネッカー川の影」「『隠り人』日記抄」「夜が怕い」他二篇収録。
二・二六解明に不可欠の青年将校運動、そして事件の反響。憲兵隊の克明な記録を中心に林銑十郎大将メモなど、比類なき資料を収録
一通の投書から新聞社主催の南仏国際駅伝計画が動き出す。仕事に賭ける男のロマンと投書したOLの秘かな狙いが交錯。詩情あふれるプロヴァンスを舞台に苛烈な人間ドラマが……。
駐日オーストリア公使に見初められ欧州へ渡った明治の女ミツコ。ハプスブルグ帝国の終末期、クーデンホーフ・カレルギー伯爵夫人としてウィーン社交界の華と謳われたミツコの実像。
元老西園寺、天才モーツァルト、希代の謀略家スパイM、初一念の考古学者など強烈な個性の様々な晩景を描いて人間存在の根源に迫る
隠し金山探索に活躍する西国郡代手附太田恵之助、彼を慕う柳橋芸者おえん、不気味な白髪女お島。多彩な人物が織りなす謎と興奮!
密通を怒って上司を斬り、妻を廃坑に突き落として出奔した男の数奇な運命。直参に変身した恵之助は隠し金山探索の密命を帯びて日田へ。多彩な人物が織りなす伝奇長篇。(三浦朱門)
イタリアの銀行頭取がテムズ川の橋に吊るされた。怪死事件を目撃した日本人――留学中の助教授と美しき人妻がマフィアに追われるスリルとサスペンスあふれる長篇推理。(徳岡孝夫)
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