作品
神話のふるさと出雲で発見されたバラバラ白骨死体。古代史マニアが自在な発想と知識で、謎解きに挑む。「火神被殺」「奇妙な被告」「葡萄唐草文様の刺繍」「神の里事件」「恩誼の紐」収録。
炭鉱の労働争議と炭住地区をおそったポリオの流行との関わり――妻子を残して急死した科学者は何を知っていたのか。真相の追求を続ける男に謀略機関の黒い影が迫る。(佐野洋)
男というものは、絶えず急な斜面に立っている。爪を立てて上へのぼっていくか、転落するかだ! 愛欲と野心が悲劇を生む。「危険な斜面」「二階」「巻頭句の女」「失敗」「拐帯行」「投影」収録。
ピンクの西洋風呂の中で大胆な姿勢で回転する魅力的な娘を知ったこと、市長選挙をめぐる派閥の戦い。それがうっとうしい梅雨の季節に殺人を招く。アリバイ崩しの本格推理。
画壇への夢を捨て肖像画で生計を立てる画家は、身を飾って注文とりに歩く女盛りの妻の外交手腕に、ふと暗い疑念を抱いた。「与えられた生」「虚線の下絵」「通過する客」「首相官邸」収録。
アンカレッジ、コペンハーゲン、ロンドン、スイスと旅をつづける日本人の女ばかりの観光団に起こった連続殺人。各地の風物を背景に犯人さがしの謎にいどむ本格推理長篇。
高台の家には、若き未亡人の美貌と資産に惹かれた青年たちが出入りする。舅たちはなぜ黙認するのか? 女だけのアパートに発生した連続殺人事件の謎を追う「獄衣のない女囚」を併録。
二・二六事件に決起した青年将校たちの死刑判決、それに続く北一輝、西田税の刑死。そして、数々の問題を残して、軍部は全面戦争へと向う。画期的な労作の最終巻
二・二六事件に決起した将兵が奉勅命令で一挙に終幕を迎えるクライマックス篇と、この事件を裁く特設軍法会議の秘密審理を独自の資料によって明らかにした裁判篇
裁判で所信を天下に訴えんと図った青年将校は、非公開・弁護人なし・上告なしの秘密審理に屈する。首謀者は悉く死刑となり、事件を恫喝に利用した軍部は暴走の道をたどる。
皇道派青年将校は相沢中佐の公判闘争に熱中したが、第一師団満州出動の噂に情勢は急変する。時期尚早論を制した急進派はクーデター準備を完了。刻一刻と緊張を増す二・二六前夜
二月二十六日未明、クーデター決行。重臣襲撃に成功した決行部隊は、陸軍省ほか要所を占拠し、当局との交渉に入る。しかし、戦勝気分も天皇の意志と奉勅命令の詭計で一転、終幕へ。
第七巻からは二・二六事件。直接の引金は、白昼の陸軍省で永田軍務局長が斬殺された「相沢事件」。頂点に達した皇道派と統制派の抗争を新資料で描く「軍閥の暗闘」。
皇道派青年将校は相沢中佐の公判闘争に熱中したが、第一師団満州出動の噂に情勢は急変する。時期尚早論を制した急進派はクーデター準備を完了。刻一刻と緊張を増す二・二六前夜。
昭和七年秋の大森銀行強盗事件は、警視庁を震撼させた。次いで熱海会議の共産党幹部一斉検挙。この二つを演出した“M”の正体を追う「スパイ“M”の謀略」と「小林多喜二の死」。
御用学者の絶叫で日本は戦争への道を暴走しだす。滝川事件、美濃部達吉攻撃と、言論弾圧を描く「京都大学の墓碑銘」「天皇機関説」。陸軍派閥抗争噴出の「陸軍士官学校事件」。
昭和三年、張作霖爆殺の「満州某重大事件」で日本は世界の孤児となった。当時、社会面を賑わした二つの事件、「佐分利公使の怪死」と夫婦交換のゴシップを生んだ「潤一郎と春夫」。
理想社会建設に名を借りた国体変革だとして不敬罪で起訴された「天理研究会事件」。暗い時代を武力による国内改造で乗り切ろうと図った「桜会の野望」。続いて「五・一五事件」。
飛鳥路に謎の石造物を探り、イランの砂漠に聳える沈黙の塔に日本の古代を想う気鋭の女性研究者。見果てぬ学問の夢を託す落魄の在野史家。古代史のロマン溢れる長篇。(福山敏男)
(上を参照)
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