作品
喧嘩、口論、探し物その他、よろず仲裁つかまつり候。旗本の家を出奔し、裏店にすみついた神名平四郎の風がわりな商売。長屋暮しの哀歓あふれる人生をえがく剣客小説。(村上博基)
(上を参照)
北の定町回り同心・神谷玄次郎。直心影流の冴えた技、探索の腕も抜群だが、役所では自堕落者と見られている。玄次郎は、小料理屋の寡婦のおかみとねんごろ。さて、そこへ事件だ。
戦国武将のなかにあり、ひときわ異彩を放つ不可解な男・明智光秀。その性格と行動は、いまだ多くの謎につつまれている。時代小説の第一人者が初めててがけた歴史小説の異色作品。
同族相討つ凄絶な仇討ちの一部始終をえがいて鮮烈な感動をよんだ表題名篇、加えて「帰郷」「賽子無宿」「割れた月」「恐喝」など全五作を収録。敗者のロマンと賛された初期作品。(常盤新平)
十代将軍・家治の治世、幕府を恨み連綿と暗躍をつづける謎の徒党があった。“八嶽党”と名乗るかれらは老中・田沼意次に通じ奇怪な策謀を開始する。伝奇時代小説の傑作。(清原康正)
剣客小説の新しい試みとして新鮮な話題をさらった「隠し剣」シリーズ。「孤影抄」の姉妹篇である本書は、酒乱剣、盲目剣、女難剣など、登場する剣の遣い手はいよいよ多彩をきわめる。
身を粉にして迎えた四十の半ば。老いを自覚する日々の孤独と心の翳り。紙屋新兵衛の心象を軸に人生の深い陰影を描き出す時代長篇
不敗の秘剣を知るゆえに悲運に見舞われる剣客たち。時代小説に新風を吹込んだシリーズとして定評ある本篇。この著者ならではの深い陰影に彩られた異色の剣客小説。(武蔵野次郎)
荘内藩主世継ぎをめぐる暗闘として史実に残る長門守事件。その空前の危機をえがく表題作の他、「夢ぞ見し」「春の雪」「夕べの光」「遠い少女」など時代小説の純一な世界。(関口苑生)
奈落に陥ちた薄幸の女の晩景を描く表題作のほか、この作家ならではの独自の色彩をたたえる作品世界。異色の剣客小説連作集完結篇
中年夫婦の離縁話をもち込まれ困惑する平四郎。表題作の他、一見気儘な裏店の悲哀あふれる人生絵図をキメ細かな筆致で描く第二巻
喧嘩、口論、探し物、その他よろずもめごと仲裁つかまつり候。旗本の家を出奔し裏店にすみついた食いつめ者・神名平四郎の珍商売
薩摩討つべし。奥羽列藩を襲った、幕末狂乱の嵐のなかを、討薩ただひとすじに奔走し倒れた、悲憤の志士雲井龍雄。その短く激しい生涯を、熱気のこもった筆で描く異色の長篇歴史小説。
稀代の浮世絵師・喜多川歌麿。好色漢の代名詞とされるが、その実人生は意外にも愛妻家であったという。この作家ならではの独自の手法と構成とで描きだされる人間・歌麿の素顔。
生涯、二万に及ぶ発句。一方、遺産横領人という消しがたい汚名を残した男。俳聖か風狂か、あるいは俗事にたけた世間師か。稀代の俳諧師の複雑な貌を描き出す傑作伝記小説。(藤田昌司)
武家の非情な掟と規矩の中で生き、そして死んでゆく者たち。歴史の片隅に葬られた小さな事件を、透徹した史眼で再編成した全六篇
第二巻に並んで、この著者ならではの、市井小説集。語りすぎず、かつ黙さず、いわゆる“藤沢調”として称賛される独自の小説世界
※未刊行の書籍は、刊行予定が変更になる場合があります。