作品
盗賊相手の捕物には鬼のような腕を揮うが、義理も人情も心得た苦労人平蔵が、社会の悪と取り組み、浮世の縁にからまれて活躍する
日本政府がやった対露戦の戦略計画は、ちょうど綱渡りをするような、つまりこの計画という一本のロープをはずしては勝つ方法がないというものであった。ひとつでも踏みはずせば敗亡する。
坂の上の一片の雲をめざして切磋した好古・真之の秋山兄弟と正岡子規。伊予出身・三青年の哀歓を勃興期の明治を背景に描く大長篇
“鬼の平蔵”と盗賊どもに怖れられた幕府の火付盗賊改メ方の長官・長谷川平蔵。怪盗・妖盗を相手どり水ぎわ立った腕と度胸で大活躍
鹿児島の片田舎で薩摩焼の名器を焼き続ける高麗貴族の末裔たち。彼らの数奇な運命と望郷の念とを詩情豊かに描いた表題作ほか二篇
六十九歳の病院長が患者の少年との交渉から回想される若き日の情景と現在の老境とを見事に対比させた芥川賞受賞作と三篇の作品集
恩賞目当の武士と権威保持に汲々たる公家。武家時代開幕の前夜、源平公家三巴の争乱の中で、政治に疎い軍事の天才義経の歩む悲劇
並外れた統率力と智力で四国全土を平定し、天下を望みながら、雄図空しく秀吉政権に屈していった長曾我部元親六十年の無念の生涯
明治を一身に表徴する将軍乃木希典。ひたすらに死処を求めて、ついに帝に殉じた武人の心の屈折と詩魂の高揚を模索した評判の名篇
海に臨む刑務所の看守の生活を描き、生命の重さを問う芥川賞受賞作「夏の流れ」、抒情味豊かな「雪間」「その日は船で…」等を収録
尊王佐幕、開国攘夷にたぎる朝廷幕府薩長を相手どり、「家康以来の名君」将軍慶喜が独演する、大政奉還劇の思わぬ結果と悲痛な破綻
幕末狂騒の江戸、京、大坂、西国で、二天一流の使い手天堂晋助は、幾多の危機に見舞われながらも、ニヒルに必殺の剣をひらめかす
幕末の激動期に歴史の風当りを最も激しく受け、心火を酒と女と詩に託した山内容堂を初め、島津、伊達、鍋島、四賢侯の苦衷と狼狽
指導方針を一擲して自ら無謬性を裏切った革命党に絶望し、自殺・国内潜行・性への沈淪へ陥って行く男女大学生の青春の挫折と彷徨
現代の行動的英雄を夢みてスエズ義勇兵を志願しながら、それに挫折した青年が、なおも自由を求めて努力し続ける一途な若者の肖像
草原から起って次々と世界を征服していった英雄テムヂンの生涯に光をあて全く新しく人物像を創造し歴史小説に新生面を拓いた力作
限定された状況で、弱いものの心理は如何に展開するか? 人間の内奥をとことんまで掘り下げた傑作を収録した著者デビュー作品集
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