作品紹介

第158回直木賞(平成29年下半期) 受賞第一作

――戦前の日本は、お人よしだな。
そう思うことがある。植民地のために人をやり、金をついやし、わざわざ政治的、軍事的困難に足をつっこむ。
そうして台湾のみならず東北アジア地域そのもののなかで出る杭になった末に、あの領土の奪い合いでもない、人民革命ののろしでもない、何だか理由はよくわからないがとにかく日本の膨張が一因らしい対米戦争へずるずる入って行ってしまった。
(「お人よしの台湾統治」より)

新直木賞作家が平成の終わりに考えた「この国のかたち」。
・元号は平ったく言えば天変地異の占いの道具だった
・植民地経営に乗り出した戦前の日本はお人よしだった?
・宮沢賢治と夏目漱石の文体の「秘密」
・「艦これ」の隆盛を司馬遼太郎が予言していた!?
・新聞はほろびたという議論は明治時代からあった
・刀は物体、剣は精神である
・女工哀史は本当に「哀」なのか
・人口減少で「邪悪な正義」も減る ほか、 全50篇。
フェイクでもヘイトでもない。この国の豊かな歴史にふれる渾身の歴史エッセイ集。

担当編集者より
危機の時代には声高で勇ましい言葉が時代をリードします。しかしながら国の歴史の本質はそんなところにはありません。
作家の門井慶喜さんの二十年を越える歴史と思索の旅のエッセンスが結実したこの本は、フェイクニュースやヘイトにだまされない豊かな「この国のかたち」が描かれます。
門井さんは「歴史とは過去からだけではなく未来へとつながっていくものである」と書きます。楽しく読めて考えさせられる。平成の終わりに絶対に手にとってほしい歴史エッセイ集です。
目次
Ⅰ 二十一世紀に明治を書く/「艦これ」と司馬遼太郎/慶応大学は大阪弁で/旧敵の大地/家康没後四百年の東京/この国のうつわ---元号と政権の関係について---/サムライブルー?/毒になれ、薬になれ/二代目 中村吉右衛門/集団的推敲権/登城のすすめ /幕末志士と愛刀趣味/見積もりを厳守した人/人口が増えたら/おんな城主マルグレーテ/「かわいそう史観」に気をつけて/土地にも手がある

Ⅱ 百五十年前の転換点/『その後の慶喜』、四十五年の暇つぶし/われらの内なる蘇峰/お人よしの台湾統治/デパートで買いもの/食卓の上の大航海時代/パトロンなき世/街の年輪/大岡信「地名論」を読み直す/大阪は兄、江戸は弟/利根川をまげた人/阪神間と京阪間/大正11年の女子野球部/新時代の新選組/洋学を学んだ江戸っ子、奔る/竹島は、島ではない/幕末の志士シュンスケ!

Ⅲ 名つけの理由/一読者にも書評の奥義を/メロスは激怒した/漱石書簡の文体の秘密/確信犯的「どぜう鍋」/7:50amの昼寝/ミステリ作家になりたい学生へ/はじめての文豪/賢治先生、授業中/エジソンとお金/人類最高の哲学者サル/大山のぶよさんと私/大人こそ読め学習漫画/子どもの落書き的工場/舞台をまわす、舞台がまわる/肝油ドロップと鷗外

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