世紀の難工事、黒部第四ダム建設はいかにして成し遂げられたのか。
いまの時代にこそ求められるリーダーの覚悟とは――
“経営の神様”松下幸之助をも脱帽させた稀代の経営者の生き様がいま鮮烈に甦る!
兵庫県城崎の町医者の家に長男として生まれた太田垣士郎は、幼い頃に誤って鋲を飲み、その影響から生涯病身であった。京都帝国大学経済学部卒業すると、日本信託銀行を経て阪急電鉄入社、参禅による精神修養と創業者小林一三の薫陶によって経営者の基礎を形作る。五年間阪急電鉄社長を務めた後、請われて関西電力の初代社長に就任すると、戦後の電力不足の解決のために奔走し、〝現代のピラミッド〟と呼ばれた黒部第四ダム建設の難工事に文字通り命をかけて挑むことになるのだが……。
降りかかる幾多の試練に士郎はいかなる覚悟で立ち向かっていったのか。
徹底して現場主義を貫いた士郎の信念は「怒らず、焦らず、恐れず」。
社会のためにその身を捧げ尽くし、黒四竣工の九ヵ月後にこの世を去った稀代の経営者の知られざる生涯を描く渾身の評伝。
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