人知れず抱えている居心地の悪さや寂しさ。
そんな感情に寄り添い、ふと心が軽くなる瞬間を鮮やかに掬い取る。
注目の著者が放つ七篇。
「コードネームは保留」
楽器店で働く優香は、人知れず“殺し屋”の設定を生きることで、
味気ない日々をこなしていた。
「タイムマシンに乗れないぼくたち」
新しい街に馴染めない「ぼく」は、太古の生物が好きで、博物館が唯一落ち着く場所だった。
ある日、博物館で“現実逃避”をしているスーツ姿の男性と出会い――
「深く息を吸って、」
息をひそめるように日々を過ごすかつての「きみ」に、私は語りかける。
「対岸の叔父」
町いちばんの変わり者、それがぼくの叔父さんだった。
孤独と「戦う」わけではなく、また「乗り越える」でもなく、
仲良く手を繋いでとまではいかないけれども、
孤独とちょうどよい距離を保ちながらともに生きていこうとするような、
そういう人びとの物語を書きました。
――寺地はるな
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