作品紹介

田中清玄。戦前は武装共産党の委員長として警官を襲撃し、逮捕。獄中、母の諌死を契機に転向すると、戦後は学生やごろつきを集めて共産党を襲撃。なんとも振れ幅の大きな前半生から、やがて国際的な資源外交を裏で操るフィクサーへ。資本主義の真っただ中で暗躍しながらも、学生運動に援助を続けるなど、普通では理解しがたい人生を送った男。「俺は法螺は吹くが嘘はつなかい!」。その言葉は、出鱈目だけどどこか痛快。こんな男が昭和にはいたのである。昭和天皇にも拝謁し、その藩屏となることを誓ったというが、どこまで本当なのか……。
筆者は、終戦直後から田中の死まで秘書を務めた人物に出会い、その素顔を知る。また、英国外務省の機密文書から、田中の国際的な活動の実態、そしてヨーロッパの貴族を巻き込んで情報を収集し、それを昭和天皇に届けていたという事実を知る。
田中清玄は自伝を残しているが、その内容は虚実入り乱れ、本当の姿を伝えいない。筆者によって、昭和の怪物の姿が初めて明らかになる。
田中の葬儀には、時の総理大臣から右翼、左翼の大物、そして暴力団大幹部の姿もあった。その人脈こそが、彼の起伏に富んだ人生を表していた。
令和の現代では絶対にお目にかかれない、昭和の快男児の生涯!

担当編集者より
これはカバー袖にも書いたのですが、「その人を知らざればその友を見よ」という言葉があります。わかりにくい田中清玄という人物を理解するために、その友を見てみたら――内閣総理大臣・中曽根康弘、柳口組三代目組長・田岡一雄、禅僧・山本玄峰、財界の鞍馬天狗・中山素平、全学連委員長・唐牛健太郎、ノーベル賞学者・ハイエク、UAE大統領・ザーイド・アブダビ国王、神聖ローマ皇帝の末裔・オットー・ハプスブルクー大公、そして田中が命をかけてお守りしますと誓った昭和天皇。ますますわからなくなりましたが、それが田中という男なのです。
目次
プロローグ 6

第一章 電源防衛隊~終戦直後~ 15
大学空手部の先輩/東電の社史に残らない仕事/ソ連も米国も田中に接触/「今すぐここで、俺と勝負しろ」/「右翼の黒幕」の誕生

第二章 武装共産党~戦前~ 41
右翼団体を迎え撃つ/渡辺政之輔との出会い/共産党中央委員長/母の自殺/シングルマザー/転向/小菅刑務所と河上肇/赤い獄中結婚

第三章 禅寺修行と昭和天皇~戦時中から終戦~ 115
雲水修行/最大、無上の幸福/「裏切り者」の汚名/昭和天皇に拝謁する/日本国憲法における「象徴」の意味

第四章 全学連と暴力団~六〇年安保と狙撃事件~ 147
料亭に招かれた全学連幹部/キーワードは「革命」/児玉誉士夫との因縁/財界コネクション/三発の銃弾/同じ右翼でどこが違う

第五章 国際的フィクサー~高度成長と石油利権~ 233
松永安左エ門の薫陶/金儲けができない/アラブに降り立つ/ザイード首長の前で裸に/共産党時代のノウハウ/「悪名高い」利権屋/「革命」に首を突っ込む/岸への遺恨

第六章 環境活動家~オイルショックと人類の未来~ 307
オイルショックを警告/「ウラン馬鹿」を批判/ドン・キホーテ/ハイエクとの長い親交/「サッチャー革命」/資本主義への怒り

第七章 最後の日々~冷戦を超えて~ 363
鄧小平と単独会見/天皇訪中への密使/中曽根との貸し借り/盟友・田岡の死/オットー大公との友情/天皇に届けられた欧州情報/「プーチンは危険だ」/あのくたら億兆京華の神佛 あの世この世に幸あらしめ給え

エピローグ 427
謝辞 438
主要参考文献 442

著者

徳本 栄一郎

感想を送る

本書をお読みになったご意見・ご感想をお寄せください。
投稿されたお客様の声は、弊社ウェブサイト、また新聞・雑誌広告などに掲載させていただく場合がございます。

※いただいた内容へのご返信は致しかねますのでご了承ください。
※ご意見・ご感想以外は、https://www.bunshun.co.jp/contact/ から各部門にお送りください。

感想を書く

 

メディア関係者、図書館の皆様へ

ご希望のデータがダウンロードできない場合や、著者インタビューのご依頼、その他の本の紹介に関するお問合せは、直接プロモーション部へご連絡ください。

雑誌・書籍の内容に関するご意見、書籍・記事・写真等の転載、朗読、二次利用などに関するお問合せ、その他については「文藝春秋へのお問合せ」をご覧ください。

https://www.bunshun.co.jp/contact/

映画・テレビ化情報一覧を見る