二〇二一年六月、世界で初めて脳腫瘍を対象とした「がん治療用ウイルス療法薬」が日本で承認された。人類の「敵」と見なされがちなウイルスを「味方」にするという画期的な発想から生まれた「テセルパツレブ」は、標準治療に比べて副作用が少なく、あらゆる固形がんに適用できる。従来のがん治療を根本的に変えうる、全く新しい治療法を確立した臨床医の長き闘いの全貌。
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