征韓論を巡って大久保に敗れ、薩摩へさる西郷。叛旗を翻し、独立国の様相を呈し始めた薩摩に、政府は厳しく決着をつけようとする
西郷と大久保の議論は、感情に馳(は)せてややもすれば道理の外に出(い)で、一座、呆然として喙(くちばし)を容(い)るるに由なき光景であった。明治六年十月の廟議は、征韓論をめぐって激しく火花を散らした。そして……西郷は敗れた。故国へ帰る彼を慕い、薩摩系の士官達は陸続として東京を去ってゆく内戦への不安は、現実となった。
1923年、大阪府生まれ。産経新聞在職中の1960年に『梟の城』で第42回直木賞を受賞。1966年の『竜馬がゆく』『国盗り物語』での第14回菊池寛賞はじめ多くの賞を受賞。主な著書に『燃えよ剣』『坂の上の雲』『翔ぶが如く』『関ヶ原』『功名が辻』『菜の花の沖』など多数。1996年没。
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