「なんか誘拐みたいだね」。失業中の俺は、ひょんなことから隣家の娘を預かるはめに……。芥川賞受賞第一作を含む珠玉の短篇集
なぜか隣家の娘を預かることになった失業中の俺の、ちぐはぐで不思議な一夜を描く表題作。真夜中に実家の金庫を盗むはめになった三姉弟の不器用でおかしなやりとりを描く「夜のあぐら」ほか「バルセロナの印象」「三十歳」を収録。夜の気配と低い体温、静かな笑いを感じさせる、芥川賞受賞後初の作品集。解説・福永信
1972年生まれ。2001年「サイドカーに犬」で文學界新人賞を受賞しデビュー。02年「猛スピードで母は」で芥川賞、07年『夕子ちゃんの近道』で大江健三郎賞、16年『三の隣は五号室』で谷崎潤一郎賞受賞。07年に「サイドカーに犬」、08年に『ジャージの二人』が映画化された。『ぼくは落ち着きがない』『ねたあとに』『佐渡の三人』『問いのない答え』『愛のようだ』『もう生まれたくない』『私に付け足されるもの』『今も未来も変わらない』『ルーティーンズ』『トゥデイズ』など著書多数。そのほかコミック作品『フキンシンちゃん』、エッセイ集『いろんな気持ちが本当の気持ち』『電化文学列伝』『安全な妄想』『観なかった映画』、句集『新装版春のお辞儀』などがある。
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