春の御前山で思いがけず出会った、薄紅に咲きさかるカタクリの大群落。
あまりの小ささに草地に身を伏せて、ようやく所在を確かめた早池峰のチシマコザクラ。
レブンソウとの新しい出会いに、自分の命がその花に添って伸びひろがってゆくのを感じる――
山と花をこよなく愛し、日本中の山々を踏破した著者が、その豊富な山行の中から、四季折々の山と花の結びつきを100選び、歴史や自身の思い出とともに綴った珠玉のエッセイ。第32回読売文学賞〈随筆・紀行賞〉受賞作。
1980年に刊行以来、多くの山好き・花好きの間で読み継がれてきたロングセラー。NHK衛星第2TVで放映された「NHK 花の百名山」、山と溪谷社刊行「花の百名山 登山ガイド」などを生み出すことになった、元祖である。
「あれらの山々にはどんな木が茂り、どんな水が流れ、どんな花々が咲いているのか」という思いで、生涯山に登り、花を愛しつづけた著者のひたむきさ、純粋さ、喜びが、文章の端々から伝わってくる名作が、活字を大きくして待望の復刊。
表紙画・熊谷守一 「松虫草」(1961年)
解説・平尾隆弘(初代担当者・神戸外国語大学客員教授)
〈登場する100の山〉
高尾山/大楠山/御前山/三頭山/幕山/武甲山/高鈴山/天城山/三筋山/相模大山/川苔山/雲取山/地蔵岳/黒檜山/至仏山/大岳山/高水山/鶏頂山/大菩薩峠/武州御嶽/生藤山/石割山/尾瀬沼/八幡平/大滝根山/鎌倉岳/早池峰山/田代山/鳥海山/月山/羽黒山/栗駒山/安達太良山/五葉山/利尻山/礼文岳/余市岳/夕張岳/大千軒岳/斜里岳/大雪山/アポイ岳/富良野岳/十勝岳/沼の平/羅臼岳/樽前山/雌阿寒岳/空沼岳/雨竜沼/国師ヶ岳/葦毛湿原/金峰山/白山/立山/薬師岳/黒部五郎岳/五色ヶ原/弓折岳/双六岳/仙丈岳/根子岳/苗場山/霧ノ塔/守屋山/黒斑山/浅間山/槍ヶ岳/白馬岳/木曾駒ヶ岳/木曾御嶽/西穂高岳/戸隠山/火打山/縞枯山/爺ヶ岳/鹿島槍ヶ岳/五頭山/高峰山/霧ヶ峰/志賀高原/浜石岳/三上山/藤原岳/雲仙山/二上山雄岳/葛城山/愛宕山/御池岳/大台ヶ原山/大山/天狗高原/東赤石山/横倉山/石鎚山/丸笹山/剣山/韓国岳/久住山/祖母山
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