ライフネット生命の創業者・出口治明会長(当時)が、「歴史を学ぶことは、必ず役に立つ、将来のための教材は過去にしかない」という信念のもと、ビジネスの傍らに長年歴史研究を重ねた成果を世に問うた一冊。我々が普通に「世界史の偉人」としてイメージする人物ではなく、あえて「通好み」の10人を紹介している。出口氏がイメージする真のリーダーの条件とは、人格が立派であることでも。志が高いことでもなく。「何を成し遂げたか、後世に何どのような影響を与えたか」。結果責任がすべて、という出口氏のビジネスマンらしい新鮮な視点で選ばれたのが、中世エジブトで奴隷からスルタンになった「バルバイス」、グローバル企業・大元帝国と作り上げた「クビライ」ムガール帝国の雄「バーブル」、中国初の女帝「武則天」、宋の政治改革に挑んだ「王安石」、強国イングランドの基を築いた「アリエノール」、神聖ローマ皇帝として教皇権力と戦った「フェデリーコ三世」、英国を一流国に成長させた「エリザベス一世」、ロシアを強国に育てた「エカチェリーナ二世」、そして近代都市パリを作り上げた「ナポレオン三世」という、世界史の通がうなる顔ぶれ。西欧中心の世界史では馴染みがない名前も多く、女性の活躍が期待されるこれからの時代を見据えて、女王、女帝が4人も選ばれている。必ずしも「歴史の勝者」ではなく、「英雄」と称えられることはなくとも、自らの環境を切り開き、後世の人間に大きな業績をもたらした人物について、その前後の時代背景を詳説しつつ紹介している。歴史を「人生の指針」にしたいと願う人に最適の指南書、待望の文庫化。
まえがき
第1部 世界史のカギはユーラシア大陸にあり
WARM-UP1 大草原に大帝国を築いた人びと
File1 バイバルス 奴隷からスルタンに上りつめた革命児
File2 クビライ 五代目はグローバルなビジネスパーソン
File3 バーブル 新天地インドを目指したベンチャー精神
第2部 西も東も「五胡十六国」
WARM-UP2 東方世界の「南北朝」
File4 武規天 「正史」では隠された女帝たちの実力
File5 王安石 生まれるのが早すぎた改革の天才
第3部 「ゲルマン民族」はいなかった?
WARM-UP3 ヨーロッパは領土と家系の迷宮
File6 アリエノール 「ヨーロッパの祖母」が聴いた子守唄
File7 フェデリーコ2世 ローマ教皇を無視した近代人
第4部 ヨーロッパはいつ誕生したか
WARM-UP4 ユーラシア大草原からの侵入を防ぐ壁
File8 エリザベス1世 「優柔不断」こそ女王の武器
File9 エカチェリーナ2世 ロシア最強の女帝が見せた胆力
File10 ナポレオン3世 甥っ子は伯父さんを超えられたのか?
あとがき
文庫版あとがき
解説 入澤崇 龍谷大学教授
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