作品紹介

文学と医業という二足の草鞋を綱渡りのように穿いて四十余年。総合病院を定年退職し、今は非常勤医師として働く著者が、近年の己を題材に編み上げた四篇。

「畔を歩く」:定年退職を機に、うつ病を発症してから負担の軽い健康診断担当になり、時に肩身が狭い思いもしながらも、しかし生き延びるためには文筆を止める訳にはいかなかった日々を回想する。おさまらぬ気持ちを、畔をしっかりと歩いて宥める。

「小屋を造る」:同年配の地元の男らと山から木を伐り出し、簡素な小屋を建て、焼酎で乾杯する。

「四股を踏む」:定年間際の診療で、超高齢の女性患者から、処女懐胎の体験談を聞く。

「小屋を燃す」:六年前に小屋を建てたのと同じメンバーで、老朽化した小屋を壊す。といっても、二人の男は先に逝ってしまっていた。解体跡で飲み食いを始めると、死んでいるはずの者たちが次々と現れる。

担当編集者より
病院勤務医にして純文学作家、芥川賞受賞後にうつ病を発症しながらも、生活に根差した私小説をコンスタントに発表し、確実に読者を摑んできた強靭な作家・南木さんが、定年退職前後(現在は非常勤医)の己れを題材に書いた四篇です。「畔を歩く」「小屋を造る」「四股を踏む」「小屋を燃す」には、地元の男らと木を伐り出し、小屋を建て中で呑み、仲間が一人逝き二人逝き、やがて小屋の解体跡で生者と死者が酒を酌み交わす様が描かれます。ゆるぎない文章から滲み出る深い宗教性が読者の身体に浸みわたる一冊です。

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