書名(カナ) | ダレモオシエテクレナカッタ |
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ページ数 | 272ページ |
判型・造本・装丁 | 四六判 上製カバー装 |
初版奥付日 | 2017年04月19日 |
ISBN | 978-4-16-008894-8 |
Cコード | 0095 |
著者は、全国の私立の精神科病院を中心とした組織である日本精神科病院協会の会長で、精神科医療のあり方について、長年積極的な提言を続けてきた精神科医である。本書は、協会の機関誌に掲載された著者の「巻頭言」を集大成したもの。精神科病院といえば、薬漬けにされた患者が鉄格子の部屋に長期にわたって収容されている、といったイメージで語られることが多いが、現場に立ち続けてきた著者は、それは実態とはかけ離れた偏見だと言う。国は戦後一貫して、精神病患者を病院に収容する方向で制度設計してきた。その結果、36万床という膨大な病床が生まれたのだが、ここにきて一転、患者を病院から退院させ地域で見守るようにしよう、それが世界の大勢だ、と言い始めた。上記の「病院は患者を薬漬けにし、長期収容することで儲けている」といった偏見とあいまって、いまや「精神病院イコール悪」と言わんばかりの空気がある。しかし、地域にきちんとした受け皿を用意せず、安易に方針転換して退院を促進すれば、患者は行き場をなくしてしまう。そもそもそれは、精神科病院の実態を知らずになされている議論だ、と著者は憂うのである。硬骨漢の著者の筆先は、少子高齢化社会の実相、世の中の矛盾、国際問題にまで及ぶ。本書は精神科医療のあり方を中心とした憂国の書とも言えるだろう。
まえがき
Ⅰ 精神科医療のビジョンを問う
都立松沢病院解体論
精神科医療の将来展望
政権交代の陰で
株式会社医療参入・混合診療参入
五疾病五事業
地域移行で幸せになれるのか
精神科人員基準の改正
社会的偏見を助長するのは誰か
そして誰もいなくなった
DPAT(Disaster Psychiatric Assistance Team)
相模原事件に思う
Ⅱ 医師のあり方、看護師のあり方
医師不足は解消するのか
もういい加減にしろ
コックになる人間は料理が好きでなければ駄目
自由開業制・自由標榜制は見直すべきである
日本看護協会変じて日本公立看護師労働組合
ニコヨン医者繁盛記
Ⅲ 精神科医療をめぐる歴史と回顧
精神科病床三六万床
クラーク勧告
河﨑茂名誉会長を偲んで
日精協の歴史は社会的偏見との戦いの歴史でもある
精神科医療対策室設置規程
Ⅳ 少子高齢化社会の中で
新しい対立軸
認知症貧困ビジネス
勝手に死にたい
高齢化社会の先にあるもの
そろそろ本音で死を語ろう
長寿大国の行方
憂鬱な季節
新オレンジプラン
少子高齢化社会における医療提供体制のあり方
Ⅴ 税・年金・保険を考える
社会保障・税の一体改革
年金怪談
社会保障制度改革国民会議報告書を読む
いまこそシャウプ税制の改革を
社会保障費削減論に思う
マイナンバー制度は誰のため
Ⅵ 日本という社会
自殺は防げるのか
天災・人災
兵隊さん、ありがとう
心のケア
天皇陛下万歳
情報操作
総括民主党
ひっこめ小泉純一郎、出てこい河野洋平
靖国協躁曲
Et alors?
自殺予防
日本人洗脳計画
左傾化する日本
Ⅶ 世界の動向と日本
Japan as No.1
TPP参加反対論
平均在院日数・多剤大量併用の嘘
アメリカの精神科病院での患者中心医療
精神科患者中心医療・イギリスの場合
Ⅷ 随想
アングロサクソンの正義
目が笑っている
西部劇・TPP
忘れえぬ人々
誰も教えてくれなかった
夢物語
最後に誰が笑うのか
習青年が見た夢
ユトリロの心象
あとがき
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