担当編集者より

自身も海釣りを嗜（たしな）む著者が、念願だったという「釣り」をテーマにした連作集を上梓しました。圧倒的な臨場感で迫る釣りのシーンは、大自然と格闘する醍醐味を見事に活写しています。もちろん、ただ楽しいだけではありません。船酔いや筋肉痛に苦しみ、１尾も釣れない恐怖に震える釣り人たちの姿に、なんのためにこんな辛い想いをしてまで釣りをするのか疑問に思うかもしれません。しかし、肩書きも年齢も忘れ、ただ１人の人間として魚に対峙する主人公たちの姿には、私たちが日常生活では失いがちな本能がかきたてられます。釣りを通じてすれちがっていた心と心が通じ合う。そんな奇跡にあなたも触れてみませんか。（ＨＡ）