書名(カナ) | コクハツ ジドウソウダンショガコドモヲコロス |
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ページ数 | 256ページ |
判型・造本・装丁 | 新書判 |
初版奥付日 | 2016年09月20日 |
ISBN | 978-4-16-661090-7 |
Cコード | 0295 |
最後のセーフティーネットは穴だらけ――元職員が覚悟の告発!
虐待された子どもの「最後のとりで」となるのが児童相談所です。必要があれば親と引き離したり、一時保護所で預かったり、訪問やカウンセリングをして安全を確保する役所―ーのはずなのに、「児童相談所に何度も通報していたのに虐待死してしまった」という例が後を絶ちません。なぜ、〝最後のセーフティーネット〟は虐待を見過ごしてしまうのでしょうか?
児童相談所の多忙、人手不足、専門家の不足、ハード面の限界は各メディアでも言われていますが、それは本質的な問題ではありません。本書で取り上げる問題の一例は――。
・子どもの運命を決める「児童福祉司」は、専門職ではない普通の公務員の異動先
・キャリアの長短に関わらず、児童福祉司に絶大な権限が集中
・心理的虐待、ネグレクトなどの相談終了の判断基準は「死ぬことはないから」
・虐待は手間と時間がかり責任を負いたくないので、学校、保育園などに押し付ける
・役所の中で児相は超不人気部署。“お役所体質”の問題が凝縮
・相模原市の児相談所が女子9人を全裸にして身体検査した事件は他でも起こり得る
なぜ虐待が起きるのか、見過ごされるのか、どうしたらいいのか? 著者は19年にわたり心理司として児相に勤め、2000人以上の家族と接してきたプロフェッショナル。15万部のベストセラー『教室の悪魔』を記したカウンセラーが、子どもたちの悲痛なか細い声を交えながら、満を持して問題のすべてを論じます。
■はじめに
■序章 私が目の当たりにした悲劇
「児童福祉司」という病/子どもより親が怖い/普通の公務員による重大な決定
/「殺されるかもしれない」という心の声も……/何度も保護され、帰され、虐待されて/捨てた親と面会させる/児童相談所の構造的な問題
■第1章 なぜ虐待死は防げなかったのか
相模原市虐待死事件/SOSは無視された/「見た感じ」で判断?/責任は果たした/上司に報告しなかった担当者/言い訳ばかりの記者会見/女の子を裸にして身体検査
■第2章 児童相談所とは何か
子ども対応の「何でも屋」/相談受付から方針決定まで/典型的な〝お役所体質〟/問題は「人数」より「やる気」/大きすぎる児童福祉司の権限
■第3章 なぜ虐待はなくならないのか――虐待の「強制終了」/虐待相談はどこから来るか/関係機関からの通告/会議のための会議/相談受付は二十四時間/虐待対応 衝撃の真実/「泣き声通報」は後回し/七割は「助言」で終了/傷、あざがバロメーター/「俺もやってたから」が基準になる/警察からの通告は「断れない」/病院からの通告は最重視/怒る、怒鳴るも心理的虐待/「死ね」は虐待のサイン/DVは目撃するだけでも傷つく/アルコール依存症の親を介抱する子ども/ネグレクト家庭の悲しい食卓/親の愛情は成長の栄養
■第4章 なぜ虐待はなくならないのか――力量不足の児童福祉司たち
児童福祉司問題の核心/うつ病のお母さんを放置した結果/叩く、注意する、また叩く/もみ消されるか細い声/相談窓口は一つになったが……/「面倒だから受け流す」という悪癖/関係機関にまで及ぶ不信感/法律を作るということは、深刻化しているということ/児童相談所「以外」の熱心な相談員/保育園や学校の取り組み/生活保護家庭と虐待/一時保護所も課題山積/携帯電話から下着まで持ち込み禁止/満員だから家に帰す/子どもの言い分より親の言い分/「殺されなければ」保護はしない/非行にはお説教という時代錯誤/「育て直し」は家族も幸せにする/風俗・AVしか居場所がない女の子/叱責してどうする
■第5章 なぜ虐待はなくならないのか――児童養護施設に入れても続く問題
入所は親との「全面戦争」/継続的なケアはしない/問題がなければ放置/家庭復帰への強引な道のり/「今度こそ、叩かないよ」は信じられるか?/児童心理司の問題/ケアの方針を決める「心理診断」/軽視される子どもの心理/児童心理司も「会いに行かない」/本当の心理ケアとは何か?
■第6章 児童相談所が虐待をなくせない理由
子どもの心理――大人の本質は見抜かれている/児童福祉司の心理――「虐待」を見過す大人たち
■第7章 なぜ虐待は起きるのか
身体的虐待――「痛い目にあわせる」/不満のはけ口に子どもを選ぶ親/罪悪感は薄れ、快感が増す/心理的虐待――殴らない代わり/ネグレクト親の心理/虐待しながら妊娠する母親たち/隠される性的虐待/娘を犯す父、見てみぬフリの母
■第8章 どうしたら虐待は無くなるのか
児童相談所の不祥事が報道されない理由/虐待には「初動班」「専門班」、「家庭復帰班」で当たれ/警察はどう対応すべきか
■第9章 子どもと関わる上で重要な6つのこと
■あとがき
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