文庫

支那論

1,540 (税込)
発売日2013年10月18日
ジャンルノンフィクション
商品情報
書名(カナ) シナロン
ページ数 352ページ
判型・造本・装丁 文庫判
初版奥付日 2013年10月20日
ISBN 978-4-16-813003-8
Cコード 0195

「中国の民主化」は原理的に不可能なのか?

中国をどう見るか、中国にどう向き合うか――これこそ日本にとって、最も重要で、最も難しい課題である。そして今日、中国の急速な台頭を前にして、われわれにとって、いっそう切実な課題となっているが、最も頼りになるのは、内藤湖南の中国論であろう。なかでも戦前、最も読まれ、同時代中国を論じた『支那論』(1914年)と『新支那論』(1924年)を本書は収める。
湖南は、『日本人』『万朝報』『大阪朝日新聞』『台湾日報』などで、ジャーナリストとして活躍した後、京都大学に招かれ、東洋史学講座を担当した。中国史全体に関する学者としての博識と、中国現地でのジャーナリスト経験を合わせもつ稀有な存在として、清朝滅亡以降、激動する同時代中国を観察し続けたのである。
その中国論は、一言で言えば、皇帝の権力が強くなる一方、貴族階級が消滅して平民が台頭し、商業が盛んになった北宋(960年~)の時点ですでに、中国は近世(近代)を経験した、というものである。
「支那の歴史を見れば、ある時代からこのかたは、他の世界の国民の……これから経過せんとしているところの状態を暗示するもので、日本とか欧米諸国などのごとき、その民族生活において、支那よりみずから進歩しているなどと考えるのは、大いなる間違の沙汰である」――湖南は、中国の民主化の挫折を予言するのであるが、それも、中国が「近世」の段階にすでにこれを経験・失望し、西洋や日本の「近代」での経験に先んじていたからなのである。
政治的独裁と経済発展が混在する現代の中国。湖南の中国認識は、今日、いっそうのリアリティを持っており、われわれ自身の中国認識の出発点となりうるだろう。

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担当編集者より

「あの国の民主化に望みはない。しかしそれは歴史の最先端にいるからだ」――博識の漢学者にして優れたジャーナリストであった内藤湖南は、一九一一年の辛亥革命、中華民国成立以後の混迷のなかに中国の本質を見抜きました。独裁体制と政治文化、地方自治のあり方、領土・民族問題など、その認識は、まったく古びていません。政治的独裁と経済発展が混在する現代の中国にどう向き合うべきか。今日のわれわれにとっても最も頼りとなる「近代日本最高の中国論」です。

著者

内藤 湖南

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