六〇年安保 センチメンタル・ジャーニー

1,375 (税込)
発売日2018年06月08日
ジャンルノンフィクション
商品情報
書名(カナ) ロクジュウネンアンポ センチメンタル ジャーニー
ページ数 240ページ
判型・造本・装丁 文庫判
初版奥付日 2018年06月10日
ISBN 978-4-16-813074-8
Cコード 0195

安保闘争で戦った日々を、感傷を込めて振りかえる

かつて保守派の論客としてマスコミを賑わせた西部邁氏が、今年1月、78歳で自死した。病気がちだったこともあり、自らの人生に自ら始末をつけるという、潔い最期だった。
そんな西部氏の言論活動の原点は、日米安保条約に反対する武力闘争「六〇年安保」にある。東京大学に在籍していた筆者は、学生運動の指導的立場にあった。のちに東大教授となり、社会問題に対して保守の立場から盛んに発言し、世の人気を博した。世間にはこれを転向、変節と評する向きもあったが、著者はそれについて長く反論、弁明をすることはなかった。
本書は、1986(昭和61)年に著者がはじめて当時の闘争を振り返ったもので、当時盟友として共に戦った人物たちの内面の葛藤にまで踏み込み、あの闘争とは何だったのかを問い直す。そこには崇高な思想よりも若者としての焦燥感、虚無感などが色濃く現れざるを得ない。「空虚な祭典」の中にいた「哀しき勇者たち」を、著者は時に愛をもって、時に突き放して語っていく、者が副題として「センチメンタル・ジャーニー」と名づけたのは、、当時の青年たち、そして著者自身の青春を描く物語が、逆に「知の誠実とな何か」を問うことになるからだ。
真にラディカルであることは、右とか左とかを問うことではない。行為の一貫性にこだわり内実を問わないのは知の怠慢である。
昨今盛んな改憲論議は、保守だリベラルだ、右だ左だといった単純な図式で語ってよいのか。著者が「六〇年安保」と題した本書で提起している問題は、現代においてこそ改めて真剣に考えられるべきテーマである。

目次

序章 空虚な祭典―-安保闘争 ブント 私
第一章 哀しき勇者――唐牛健太郎
第二章 優しい破壊者――篠田邦雄
第三章 純な「裏切者」――東原吉伸
第四章 苦悩せる理想家――島成郎
第五章 善良なる策略家――森田実
第六章 哀しき勇者――唐牛健太郎
終章 充実への幻想――思い出の人々
あとがき

担当編集者より

西部晋さんといえば、「朝まで生テレビ」で相手を次々に論破していた強烈なキャラクターとして知られています。保守派の論客として鳴らした西部さんですが、今年1月、自らの人生に始末をつけたという報道に接し、寂しさを禁じえません。おそらく、近年の世相について、まだまだ意見したいことが多かったことと思われます。
その西部氏が、学生時代の安保闘争を25年目にただ一度だけ振り返った名著を復活します。読む者の心に痛みと暖かみとを同時にもたらす一冊です。

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