世界に冠たる傑作機――零式戦闘機。ミッドウェー海戦の敗北から始まる日本軍の落日は、零戦の落日でもありました。大空の彼方で、搭乗員たちが胸に刻んだ思いとは。
真珠湾攻撃で隊長機を、帰途のウェーク島空襲で無二の親友を喪い、死に彩られた戦歴が始まりました。ミッドウェー海戦に参加する空母「蒼龍」では、心に迷いを抱え、一下士官搭乗員の身で、艦長柳本柳作の部屋を訪ねました。快く受け入れ、死への心構えを語ってくれた艦長はその後、艦と運命を共にします。ミッドウェー海戦敗北から敗勢著しい中、生き残るための醜い争いや人間性の裏面を、嫌というほど味わいました。柳本艦長が示した無私の生き方だけが、鮮やかに脳裡に残ります。
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