作品
娘は妻ある人を恋し、弟は友人の妻と情事をかさね、夫は秘書とオフィスラブを……貞淑な主婦が四十を超えて迎えた波瀾を描く長篇
数奇な運命をたどる日中混血美女の悲恋。香港に亡命し、ヨーロッパで暮らすもと上海大富豪の娘を主人公に、二人の日本青年の愛を、パリ、モナコ、中国、東京を舞台に描く。
佐保子の生涯を賭けた恋は、陽光に映え、風雨に耐えて美しく散った。桜の花の一日を八つに分けて、主人公の十代から八十代までになぞらえ、驕りの春に咲く恋の明暗を描く。
突然夫に死なれた世間知らずの女主人公が、生さぬ仲の一人息子とのトラブルを経て、ペンション経営で老後の自立を計ってゆく姿を描きつつ、女の幸せとは何かを模索する長篇。
華道の師範代・麻子は、義弟とその友人から同時に愛を告白された。どちらを受け入れるにせよ、まず出生の秘密を質さねばと、激しく揺れる女心は母を追ってスペインへ。
夫の愛人に子供が出来て離婚した明子は、四十にして歩き始めた第二の人生が、これ程華やいだものになるとは思わなかった。三人の男に言い寄られる女盛りの恋を描く。(高橋昌也)
美人で涙もろい“かわせみ”の女主人るいと恋人の東吾、その親友の野暮天同心・畝源三郎が大江戸の悪に挑む。人情捕物帳シリーズ
美貌の隣人に懸想し妻子の留守中に束の間の情事を楽しんだその顛末は。表題作など切れ味抜群の作品集。「春よ来い」「非行少女」「つきそい」「異母兄妹」「稚い墓」他三篇収録。(伊東昌輝)
柳橋はずれの旅籠“かわせみ”に持ち込まれた怪事件の数々。江戸風物と人情、女主人るいと東吾の恋模様に彩られた新感覚の捕物帳
芸者で二号の母、バー経営の姉、そんな人生に反発した主人公は、優秀な麻酔医となったが、許されざる愛に身をゆだね母と同じ道を辿る。母娘二代“日蔭の女”の哀しさを綴る。
初恋を胸に秘めて耐えてきた優しい女・千加子。戦前、戦中、戦後を通して、優しさ故に苛酷な運命に翻弄される人生を歩む主人公を描いて、女の真の幸せを問うた長篇。(藤田昌司)
秘書から社長夫人になった美也子をめぐる人間模様。日本とイタリアを舞台に、巨大な社会機構と愛憎渦巻く人の世の濁流に翻弄される女たちの哀しい愛を描いた長篇。(大野木直之)
柳橋の芸者・鯉登がまた大学生に入れあげていると噂が立ったその顛末は。表題作など下町の女たちを描く短篇集。「天一天上」「下町は春」「帯旦那」「下町の恋」「下町の女たち」他三篇収録。
気働きのない姑にオールドミスの小姑と同居するエリート社員の妻が家庭内のトラブルに疲れた頃、夫の浮気を知る。しかし平凡な家庭を守るために耐えた。翔べない女の幸せを問う長篇。
女主人るい、恋人の東吾とその親友・畝源三郎が大江戸の悪にいどむ第四集は、表題作のほか、「女難剣難」「江戸の怪猫」「鴉を飼う女」「鬼女」「ぼてふり安」などの八篇を収録。
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