作品
夜鴉が無気味に鳴く。千住で二件の放火があった。火付盗賊改メ方の役宅では、戦慄すべき企みが進行していた。――長谷川平蔵あやうし! 今宵また江戸の町に何かが起きる!
火盗改メ長官長谷川平蔵が襲われ、与力、下僕が暗殺された。平蔵の長男、娘の嫁ぎ先まで狙われている。敵は何者か? 生涯の怪事件に遭遇し、追いつめられた鬼平の苦悩を描く長篇。
「か、敵討ちの約束がまもれぬなら、わたした金を返せェ!」女から敵討ちを頼まれて逃げ回る男に、平蔵が助太刀を申し出て意外な事実が判明。「げに女心は奇妙な」と鬼平も苦笑。
同心大島勇五郎の動静に不審を感じた平蔵が、自ら果敢な行動力で凶盗の跳梁を制する「春の淡雪」を始め、部下への思いやりをしみじみと映し出して“仏の平蔵”の一面を描く力作群。
幼児誘拐犯は実の親か? 卑劣な犯罪を前にさすがの平蔵にも苦悩の色が……。ある時は鬼になり、ある時は仏にもなる鬼の平蔵の魅力を余すところなく描いた、著者会心の力作六篇。
鬼平犯科帳は本巻をもって幕を閉じる。「女密偵女賊」「ふたり五郎蔵」の二篇に、著者の長逝によって未完となった「誘拐」を併録
著者自身が責任編集して話題を呼んだオール讀物臨時増刊号「鬼平犯科帳の世界」を再編集して文庫化した、決定版“鬼平事典”……。これ一冊で鬼平に関するすべてがわかる。
はずみで家老の子息を斬殺し、江戸へ出た主人公に討手がせまるが、身を隠す暮らしのうちに人の情けと心意気があった。再び人は斬るまい……。円熟の筆で描く当代最高の時代小説。
大恩ある盗賊の娘が狙われている。密偵の仁三郎は平蔵に内緒で非常手段をとった。しかし、待っていたのは死であった。盗賊上がりの部下を思いやる「一寸の虫」ほか佳篇五作。
「川千鳥」「ビリヤード」「虫やしない」「元禄忠臣蔵」等、過ぎし日を惜しみ、芸を語り、失われた風物を想う。人気作家の感懐と雅味
絵と文で描く映画の楽しみ、互いに相許す友人と語る芸談、小説作法。あるいは旅に出る喜びを記し往時をなつかしむ人生の達人の本
週刊文春連載の正太郎絵日記。映画、ルノワールやユトリロら画家たちへの想い、酒と食などにまつわる四十のショート・エッセイと、それを彩る絵筆の妙とを二つながら楽しめる。
もと武士らしき男がいとなむ「権兵衛酒屋」。その女房が斬られ、亭主は現場から姿を消す。謎を探る鬼平に兇刃が迫る。「むうん……」平蔵の唸り声がした。力作長篇「鬼火」の迫力。
姉川合戦から本能寺の変にいたる戦国の世に相愛の二人の忍者、於蝶と半四郎の愛欲と死闘がつづく。人生の寂寥を描く三部作完結篇
(上を参照)
豊臣家の繁栄と天下の平和をねがう加藤清正の苦衷……徳川家康の魔手から清正をまもる忍者丹波大介と女忍・於蝶の活躍を描く長篇
白いなめらかな肌を男に許しながらも、忍びの技と道に身を賭してゆく於蝶。上杉謙信を助けるべく、天を奔り地に潜む女忍びの魅力
“不作の生大根”と罵られ、逆上して男を殺した女が辿る数奇な運命と並行して、平蔵の活躍を描く“鬼平シリーズ”の番外篇。“乳房”が女を強くすると平蔵はいうが、果たして……。
夜鴉が無気味に鳴く。千住で二件の放火があった。火付盗賊改メ方の役宅で戦慄すべき企みが……平蔵危うし。江戸の町に何かが起る
はずみで家老の子息を殺し、江戸へ出た主人公に討手が迫る。が、身を隠す生活の中に人の情と心意気があった。円熟の筆で描く佳篇
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