作品
人それぞれに、隠れたドラマと涙がある。われわれの隣人たちが抱えている様々な人生を陰翳深く描いて、そくそくと胸をうつ短篇集
ドナウ河の旅をふりかえり著者は述懐する。「この旅が私の人生の喜びと悲しみをつくった。喜びと悲しみの種を持ち帰った」。小説『ドナウの旅人』の原風景を記す紀行文集。(松本徹)
コンラッドの『青春』、井上靖の『あすなろ物語』、カミュの『異邦人』等、作家がよるべない青春を共に生きた三十二の名作。自伝的な思い出を込めて語った、優しくて痛切な青春読書案内。
東京とブダペスト。人生の岐路に立つ二人の若い女性、純子とアーギ。同時代を生きる二人はどんな選択をするのか。幸福への願いに揺れる生と性を描く、宮本文学の名篇。(大河内昭爾)
照りつける真夏の日差しのなかで味わった恐怖の時間。歳月のへだたりを突き抜けて蘇る記憶を鮮烈に刻みつける短篇小説の魅力。「真夏の犬」「暑い道」「階段」「力道山の弟」「香炉」他四篇。
本にはげまされ、本に慰められた青春時代。コンラッド『青春』以下三十二冊のかけがえのない本を回想して語るユニークな読書案内
幼い日、母に捨てられた兄と妹。その心の傷をいだきながら、二人は愛を求めてさまよい、青春を生きぬく。そして青春との訣別。人生の意味を深く問いかける一大ロマン。(栗坪良樹)
水の都バンコク。熱帯の運河のほとりで恋におちた男と女。甘美な陶酔と底知れぬ虚無の海に溺れ、そして脱け出そうとする人間を描いて哀切ここにきわまる宮本文学。(浅井愼平)
悠々とたくましく、自らが選んだ道をゆく人々と、あるときは軽妙に、あるときは神妙に、人の生き方と幸せを語る心ゆたかなひととき。宮本氏の小説世界を深く知るための絶好の一冊。
あの夏、少年をつつんだ恐怖の体験、また大人の男と女のしがらみのうとましさ。今も心に翳を落とす、あの日あの頃の九つの出来事
小乗の寺院がメナムに影をうつすバンコクで、恋におちた男と女を包む蠱惑と陶酔。心と風土の関わりをとらえる文芸作品の新世界
深い人生の歩みを通して語られる“このひとこと”を聞くよろこび。作品背後の生活と自らの使命と宿命を素直に語るさわやかさ。注目の小説家のすべてを伝える十の対話。
父の借財をかかえた一大学生の憂鬱と真摯な人生の闘い。それを支えた可憐な恋人、そして一匹の不思議な小動物。生きようとする者の苦悩と激しい情熱を描く青春小説。(菅野昭正)
新設大学のテニス部員椎名燎平と彼をめぐる友人たち。青春の短い季節を駆けぬける者、立ちどまる者。若さの不思議な輝きを描き、テニスを初めて文学にした長篇小説。(古屋健三)
なき父の借財をかかえた大学生の支えは、可憐な恋人と一匹の小動物だった。勁く真摯に生きる若者を鮮烈に描いた、青春文学の傑作
大学受験に失敗し、喫茶店の油絵を盗む若者を描く表題作他、青春を描き、豊かな感性と卓抜な物語性を備えた珠玉の短篇集「星々の悲しみ」「西瓜トラック」「北病棟」「火」「小旗」他二篇。
コートに汗がはじける。恋がめざめる。青春という言葉に、みずみずしい息吹きを注ぎ、テニスをはじめて文学作品にした感動の長篇
「泥の河」で太宰賞、「螢川」で芥川賞を受賞した著者が、精巧な物語構成と繊細な感受性で、青春の悲しみを描き尽した七つの短篇
※未刊行の書籍は、刊行予定が変更になる場合があります。