作品
月山の麓にある注連寺に居候した「わたし」は、現世と隔離されたような村で冬を越す。此の世ならぬ幽明の世界を描いた芥川賞受賞作。
宿代は倹約し、川越し人足には酒手、物乞いにも銭。伊勢では迎えの駕籠が待ち、ご馳走に絹の布団。庶民の旅の実態を物の値段で見る
異国での体験を基調に少年の眼で世界を眺めた三木卓氏の「鶸」。東北の一寒村に近代人の見失った民俗の中に、生と死の象徴を見出した森敦氏の「月山」ほか六篇。
雪に閉ざされた山村での暮らし。そこで出会う幽明の世界。圧倒的力量で話題をさらった芥川賞受賞作「月山」の他「天沼」「初真桑」「鴎」「光陰」「かての花」「天上の眺め」収録。(小島信夫)
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