作品
出合茶屋で女賊の裸をむさぼる同心の狙いは? 妻を寝とられた腹いせに放火を企てた船頭が、闇夜に商家へ忍び入る黒い影を見たとき……。巷にしぶとく生きる悪に挑む鬼平の活躍。
行きずりの浪人に手ごめにされた商家の若後家・お歌。それは女の運命を大きく狂わせた。ところが、女心のふしぎさで、二人の仲は敵討ちの助太刀にまで発展する。(筒井ガンコ堂)
二夜続いて腕利きの同心が殺害された。その手口は、半年前、平蔵を襲った兇刃に似ている。あきらかに火盗改メ方への挑戦だ。初登場の長篇「雲竜剣」の濃密な緊張感が快い。
「不作の生大根」と罵られ逆上して男を殺した女の数奇な運命をたどりつつ、長谷川平蔵の活躍を描く“鬼平犯科帳シリーズ”の番外篇
密偵の伊三次が兇悪犯に瀕死の重傷を負わされる「五月闇」に、「あごひげ三十両」「尻毛の長右衛門」「殿さま栄五郎」「浮世の顔」「さむらい松五郎」の六篇を収録。(常盤新平)
盗賊の掟を守りぬいて、“真”の盗みをする盗賊が、畜生働きの一味を成敗する「一本眉」のほか、「熱海みやげの宝物」「殺しの波紋」「夜針の音松」「墨つぼの孫八」「春雪」を収録。
平蔵が襲われ、与力、下僕が暗殺され、平蔵の長男、娘の嫁ぎ先まで狙われている。敵は何者? 追詰められた鬼平の苦悩を描く長篇
敵を探す男は飢えて煙管師を斬殺し、闇の世界の仕掛人の道を歩む。一方、父を殺された娘は幸せな一生を送る。夢魔のような一瞬が決めた運命の回り合わせをしみじみと描く。
行きずりの浪人に手込めにされた後家のお歌の憎しみが恋に変わる。ついには未婚の母となる勝気な女の妖しさをえがく異色時代長篇
盗賊となった又兵衛との二十数年ぶりの対決を描く「高杉道場・三羽烏」のほか、「いろおとこ」「見張りの見張り」「密偵たちの宴」「二つの顔」「白蝮」の六篇を収める。
夫を殺した近藤虎次郎を“討つ”べく、彦根を出奔した三千代。封建の世に、武家社会の掟を犯してまでも夫の仇討に執念を燃やす十九歳の若妻の女の“さが”を描く時代長篇。
同心木村忠吾が男色の侍に誘拐される「男色一本饂飩」、平蔵が乞食浪人に化ける「土蜘蛛の金五郎」、盗んだ三百両を返しにゆく「穴」など四篇を収録。(市川久夫)
同心・大島勇五郎の動静に不審を感じた平蔵の果敢な行動が見事に兇盗の跳梁を制した。“仏の平蔵”の一面もしみじみ描く魅力の六篇
密偵として働くことになった雨引の文五郎に裏切られた平蔵の心境は如何。盗賊改メ方の活躍を描く「犬神の権三」のほか、「蛙の長助」「追跡」「五月雨坊主」など七篇を収録。
主人公、杉虎之助は微禄ながら旗本の嫡男。十三歳で、大川に身を投げ、助けられた時が波瀾の人生の幕開けだった。幕末から明治へ、維新史の断面をみごとに剔る長篇。(佐藤隆介)
“隙間風”と異名をとる盗賊が、おのれの人相書を届けてきた。平蔵をコケにする「雨引の文五郎」。他に「鯉肝のお里」「泥亀」「本門寺暮雪」「浅草・鳥越橋」「白い粉」「狐雨」を収録。
巨体と髯面を見込まれ用心棒に雇われた男の窮地を救う「用心棒」のほか、「あきれた奴」「明神の次郎吉」「流星」「白と黒」「あきらめきれずに」を収録して、ますます味わいを深める。
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