作品
「男女交歓の絵図も過ぎてみれば枯野と同じか」ふと知った女に、愛欲の深淵と共に日本美の世界をも教えこんだ初老の作家が、転機に立って見つめる生の涯の闇。(武田勝彦)
三島にある臨済宗の寺に嫁いだ縫のまわりの男たち。夫に顧みられなくなって仏教にすがる妻。現代のマンションと中世的寺院での性的風景を交錯させつつ男の典型を描く。(入江隆則)
酒と女とばくちと喧嘩に明け暮れている文学青年の青春放浪を描きながら、立原文学の暴力の主題を十二分に展開させた長篇。残酷さの中に清冽さが流れている。(百目鬼恭三郎)
いわゆる非行少年といわれる人々の、嵐のように荒れ狂う青春群像。そこにこそ純粋な人間の魂が存在することを、張りつめた沈潜した美しさで的確に表現した小説。(金子昌夫)
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