作品
最後の文士・高見順が生前密かに綴っていた精緻な日記は、昭和史の一等史料であると同時に日記文学の最高峰の一つであり、破局に向って突き進む日本の情況を捉えて余す所がない。
自己について書くべきときが来たようだ――時は終戦直後の昭和二十一年。四十歳の作家の血を吐くような声が聞えてくる。「敗戦日記」の続篇となる“最後の文士”の生き様の記録である。
大正文学の終焉から「文學界」創刊を経て太平洋戦争終結に至るまで動乱の嵐の中を生き抜き、花咲こうとする文学者たちを自らの見聞に基づいて描いた文壇回顧録。(野口冨士男)
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