アマゾンで買い物をすると、「これもおすすめ」される。
新車を探そうと検索すると、車と保険の広告がやけに出てくるようになる。
なんだか変な道だな、と思ってもカーナビの言う通りに運転する。
私たちはその程度のことにはもはや慣れっこになっている。
人の意思決定は少しずつ少しずつ、機械に任されるようになっている。
だが、その機械の実体「アルゴリズム」について、私たちはどれだけ知っているだろうか? それらはどんなプログラムで、どんな狙いで、実際何をしているのか?
数学者であり、コンピュータオタクの著者は本書で、アルゴリズムの正体に迫っていく。司法、医療、自動運転、犯罪予測、芸術……。人間が判断するしかないと思っていた様々な局面で、アルゴリズムが驚くほど大きな役割を果たしていることを、あなたは具体的に知っていただろうか?
そして一方でそれが信じられないようなミスも犯すことを知っていただろうか?
アイダホ州の「予算管理ツール」はずさんな計算で、障害者助成金を無闇にカットしてしまった。
過去のデータから再犯を予測するアルゴリズムは、いつの間にか黒人の有罪率を高くするようになっていった。
疲れ知らずで画像診断をこなし腫瘍を発見できるアルゴリズムは、正常な細胞までがん細胞と言い立てるようになった。
あまりに便利な自動運転はドライバーの集中力を失わせ、いざ危険が迫って運転手が対応するしかなくなったときに判断を遅らせる。
膨大なデータベースから犯罪者を見つけ出せるアルゴリズムのせいで、テロ組織と似た名前の学会に属していた建築家は10年もアメリカに帰国できなくなった。
アルゴリズムは、思ったよりもずっと凄いことをやっている。だが、思ったほど万能なわけでもない。
必要なのは、それに何ができて何ができないかを知り、人間がアルゴリズムのどこを補い、どうやってつきあっていけばいいかを知ることだ。
本書を読めば、間違いなくその第一歩を踏み出せるはず。機械とデータの社会を生きていくための必読の書!
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