電子書籍

オリンピック・マネー

誰も知らない東京五輪の裏側

価格:※各書店サイトで確認してください
発売日2020年04月20日
ジャンルノンフィクション

平和の祭典の裏で蠢く五輪貴族たちの錬金術

新型コロナウイルスの流行で、迷走に迷走を重ねた挙句、東京オリンピックの延期が決定した。国際オリンピック委員会(IOC)がぎりぎりまで延期を口にしなかったのは、秋になるとアメリカでアメリカン・フットボールやバスケットといった人気スポーツが始まるので、テレビ局の放送日程がとれないからだという。
こんなバカな話があるか。オリンピックは世界中の国が集まって行う「スポーツの祭典」「平和の祭典」であり、そのため開催国では巨額の税金を注ぎ込む。それがアメリカのテレビ局の都合で左右されていいのか。マラソンの札幌移転も、東京で涼しい時間帯(未明スタート)に開催しても、暗くてはテレビ中継ができないからだというのだ。
なぜ、こんなことになってしまったのか。本書は、オリンピックが「スポーツの祭典」から、単なる巨大なスポーツ興行へと変わってしまった軌跡を丹念に追う。とくにテレビの放送権料という金の卵を産む鶏の存在が、IOCをいかに変えたのかを検証する。
では、開催国の日本は一方的な被害者なのか。そんなことはない。
オリンピックを錦の御旗に、あらゆる強引な手法が駆使された結果、東京都心で最後に残った閑静な地域、神宮外苑は再開発されることになった。その巨大な利権に群がったのは誰か。再開発地域にあった都営アパートは取り壊され、長年住んできた住民たちは移転させられた。「国策に協力する」という名目で……。
しかし、このような東京五輪の暗黒面が新聞で報じられることはない。なぜなら、新聞もオリンピックのスポンサーなのだから。
世界中がオリンピックが巻き起こす札束の嵐に巻き込まれている。しかし、忘れてはいけない。そのカネはすべて我々の税金なのだ。一年延期で胸をなでおろしている場合ではない。延期の場合、中止よりもさらに巨額の公費が投入されるのだ。

目次

第一章 平和とは縁遠いオリンピックの歴史
・ローマ帝国が滅ぼした古代オリンピック/・十九世紀の古代ギリシャ・ブーム/・最初から政治や経済と無縁ではいられなかった/・戦争の前には無力だった歴史/・自ら政治的に動くIOC
第二章 IOCを巡る不透明なカネの流れ
・IOCがスイスに本部を置く理由/・FIFAの汚職事件/・オリンピック招致を巡る疑惑の歴史/・IOC委員たちの報酬/・山ほどある関連NPO/・関連会社も存在/・IOCの錬金術──OBS/・長野オリンピックの内部資料/・なぜか二つあるOBS/・ピーター・ユベロスが変えた世界/・竹田前JOC会長が辞任後もトップを続けた子会社/・「五輪貴族」の優雅な暮らし
第三章 高騰する放送権料のからくり
・二十年で三・四倍になった収入/・たった百万ドルだった放送権料/・「ロサンゼルス方式」の成功/・「オリンピックのマネタイズ」/・競り合う米ABCとNBC/・コードネーム「サンセット」/・人気競技がなぜおかしな時間帯に放送されるのか/・マラソン・競歩が札幌へ変更された本当の理由/・新型コロナウイルス問題が明らかにしたこと
第四章 立候補する都市がなくなる日
・都市は巨額の財政負担を嫌い始めた/・経済発展神話/・「モントリオールの悲劇」/・「オリンピックの呪い」/・共産党すら反対できないIOCの権威/・唯一反対したのは山本太郎議員
第五章 「TOP」という名のスポンサー
・貴族の嗜みだったアマチュアリズム/・TOPの登場/・バッハ会長を喜ばせたトヨタとの契約/・パナソニックは「白物家電」もカテゴライズ/・電動自転車をパナに押さえられたブリヂストン/・不評が相次いだボランティア登録システム/・衝撃を与えたマクドナルドの撤退/・ユベロスへのオマージュ/・招致段階で競技施設費ゼロのからくり
第六章 二〇二〇年東京オリンピックの真実
・レガシーにならない新国立競技場/・設計に盛り込まれていなかった聖火台/・なぜ競技場の規模が「八万人」になったのか/・八万人規模なら日本青年館まで建設敷地になる/・根拠となったあいまいな決議/・頓挫したはずの神宮外苑再開発/・「密約」はあったのか
・「使い捨て」が前提だった新国立競技場/・神宮外苑再開発の起爆剤/・森元首相「どうぞ、進めてください」/・オリンピックが隠れ蓑に/・萩生田文科相の関与/・オリンピックで得をした関係者/・霞ヶ丘アパートの取り壊し/・「人間として扱ってくれなかった」/・二度目の「五輪ファースト」/・黒塗り地図の答え/・『GAIEN PROJECT「21世紀の杜」企画提案書』

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担当編集者より

私は終始、オリンピック開催に反対でした。「世界一カネのかからないオリンピック」だと浮かれていた都知事もいましたが、実際には3兆円とも4兆円ともいわれるカネが注ぎ込まれるようです。その100分の1でもあれば、保育所や児童相談所の問題はすぐに解決できるのに……。我が国はいまや崩壊直前のローマ帝国です。政府は国民をパンとサーカスで操ろうとしている。いや、パンなしのサーカスだけ。暮らしはどんどん厳しくなるのだから。スポーツの祭典などという美名の裏で行われている現実のすべてをえぐり取った本書は、この国の現実を知る最良のテキストでもあります。延期でほっとした人も多いでしょうが、延期は中止よりももっと多くのカネがかかることをお忘れなく。

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