文筆家・登山家の深田久弥が1964年に刊行した『日本百名山』になぞらえて、「品格・歴史・個性」を兼ね備えた日本の美麗昆虫・奇虫・珍虫100種を「百名虫」として紹介する一冊。
日本は昆虫の国である。全国各地に200以上の昆虫同好会があり、昆虫をテーマにした月刊誌が半世紀以上にわたって刊行され、ホームセンターで当たり前のように虫かごや捕虫網が売られており、カブトムシやクワガタムシの採集・飼育・繁殖法を解説した雑誌が書店に並んでいる国は、世界広しといえども、我が国だけである。
昆虫に関する書籍も数え切れないほど出版されている。近年は図鑑やハンドブックの種類も充実し、一昔前は誰も知らなかったような種でも、調べれば名前がわかるようになった。それぞれの昆虫が持っている「すごい」「ヤバい」「地味な」「残念な」生態も、愉快なイラストや美しい写真・動画で手軽に知ることができるようになった。
しかし、昆虫が持っているのは、名前と生態だけではない。全ての昆虫は、その発見にまつわるドラマ、採集者や研究者の武勇伝、収集家や飼育者の苦労話など、一言では語り尽くせない歴史を持っている。
しかし、それぞれの昆虫がどのような歴史を持っているか=いつ・どこで・誰によって発見され、どのような物語や逸話を持っているのかについては、図鑑やハンドブックにはほとんど載っていない。載っているのは名前・生態・全長・分布・発生時期程度である。
そうした情報だけでなく、個々の昆虫が持っている歴史、その背景にある人間との関わりを知ることができれば、より昆虫に対する理解と関心を深めることができるはずだ。
こうした考えに基づき、本書では、国内に生息する昆虫の中で特筆すべき歴史を持っているものを100種選定し、「日本百名虫」としてまとめた。
オオクワガタ、カブトムシ、タマムシ……。もちろん誰でも知っている虫もある。アカスジキンカメムシ、オオヒョウタンゴミムシ、ダイミョウヒラタコメツキ、ドロハマキチョッキリ……普通の人なら聞いたこともないような虫も入っている。
すでに虫好きな人もそうでない人も、一度手にとって2~3ページを読んでみてほしい。軽妙に語られる虫の豊かな世界にきっと引き込まれるから。
本巻『日本百名虫 フォトジェニックな虫たち』では、不完全変態の昆虫と水棲甲虫・肉食性の甲虫、別巻『日本百名虫 ドラマティックな虫たち』では、草食・菌食性の甲虫とチョウ・ガの仲間などを中心に、それぞれ50種ずつ紹介している。読者の興味のある種や仲間が載っているページから読んで頂いて構わない。
51ノブオオオアオコメツキ
52タマムシ
53アオマダラタマムシ
54アカヘリミドリタマムシ
55ハビロキンヘリタマムシ
56クチキクシヒゲムシ
57ゲンジボタル
58ルリヒラタムシ
59ニホンホホビロコメツキモドキ
60オオキノコムシ
61ナミテントウ
62ルイスホソカタムシ
63オオナガニジゴミムシダマシ
64ヒメツチハンミョウ
65ヒラズゲンセイ
66ルリボシカミキリ
67オニホソコバネカミキリ
68フタコブルリハナカミキリ
69キベリカタビロハナカミキリ
70オオトラカミキリ
71オオアオカミキリ
72ヨコヤマヒゲナガカミキリ
73コブヤハズカミキリ
74オオルリハムシ
75スゲハムシ
76オオアオゾウムシ
77クリシギゾウムシ
78ドロハマキチョッキリ
79ムラサキトビケラ
80オオムラサキ
81ヒサマツミドリシジミ
82ミヤマカラスアゲハ
83ギフチョウ
84キベリタテハ
85クジャクチョウ
86ウスバシロチョウ
87アサギマダラ
88セスジスカシバ
89ムラサキシャチホコ
90イボタガ
91オオミズアオ
92アケビコノハ
93ムラサキシタバ
94フチグロトゲエダシャク
95サツマニシキ
96トワダオオカ
97ビロードツリアブ
98ケンランアリスアブ
99キイロショウジョウバエ
100タガメ
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