今、アンチエイジングの限界に挑むビジネスが世界中で高い注目を集めている。
グーグル共同創業者のラリー・ペイジは15億ドルを投じて不老不死を目指す研究所を立ち上げた。そして、「寿命をあと100年延ばすことはできる」と発言している。
同じくグーグルの投資部門の責任者ビル・マリスもこんな予測を口にする。
「人は500歳まで生きられる」
「私は死ななくてもすむようになるまで長生きしたい」
権力も金もほしいままにした人間が、究極的に求めるもの……秦の始皇帝も、エジプトのファラオも、そして現在の世界の富裕層も躍起になって求めているのは「不老不死」である。ロシアのプーチン大統領も、鹿の血の風呂に入っているとメディアで報じられたことがあった。
金持ちや権力者だけではない。いま日本では一般人にもアンチエイジングが大流行である。老化防止を謳う化粧品や健康食品が市場に溢れ、テレビCMでも頻繁に流れている。
しかし、不老不死が人類の永遠の夢であっても、決定的な妙薬や技術はいまだ発見されてはいない。はたして人は何歳まで生きられるのか? 不老不死は可能なのか?……世界最先端の研究成果を紹介する。
それと同時に、科学者たちがおすすめする「日常の中でできるアンチエイジング」のコツも披露する。
プロローグ
第一章 ヒトは何歳まで生きられるのか?
「500歳まで生きられる」/最大寿命は「115歳」か?/122歳まで生きたフランス人女性/DNAの修復力は縄文人と同じ/寿命を延ばすと「生存戦略」を崩すリスク/テロメア仮説の虚構/「最大寿命」と「健康寿命」/「老化細胞」の周辺から老化が始まる/老化細胞だけを除去する方法/アンモニア産出過程がカギに/老化細胞にもメリットはあった/老化と死はプログラムされている/「ルビコン」の増加で年をとると太る/「腹八分目」が長寿にも効く/長寿と生殖は二律背反
第二章 不老不死の生物の謎
注目されるハダカデバネズミ/真社会性を持つ種は長寿になる/代謝が低いと長寿になる/強力なDNA修復力/年をとっても死亡率が上がらない/老化しない生物は理想なのか?/寿命を延ばすと世代交代が遅くなる/死なないベニクラゲの謎/「弱い個体ほど若返る」仮説/ベニクラゲ音頭に込めた思い/「若返り遺伝子」の発見/ターコイズキリフィッシュの寿命サイクル/老化速度制御因子はあるか?/長寿のカギはアミノ酸代謝物か?/老化が「ガクッ」と進む理由
第三章 究極の「若返り物質」を求めて
進化で選ばれた「最も適応的な老化のサイクル」/処女の生き血をすする/血液のなかにあった若返り物質/年をとるとNAD消費量が増える/「NMN」は究極の抗老化物質か?/若い血液に多い酵素eNAMPT/懸念される「NMN点滴」/がん患者のNMN服用は安全か?/NMNはなぜゲノムの「読む場所」を変えるのか?/エピジェネティック時計/時計を巻き戻す/悪玉「GPNMB」をワクチンで取り除く/老化の蓄積を可視化する/血圧、糖尿、脂質の異常で老化を察知/老化の診断基準をつくる/同じ車に100年は乗れない/「脳」を入れ替えられるか
第四章 問題は「脳」にある
老化の世界の「偏差値80」/スーパーセンチナリアンの謎/細胞を「初期化」する技術/回路の「つながり」を維持するには?/脳の「ごみ」が増えるメカニズム/急カーブで「ごみ」が増える前に/いますぐできる「デュアルタスク」/睡眠時にグリア細胞の働きが強まる/腸の調子がいいと脳もよくなる/「光認知症療法」の希望/脳細胞が死んでも記憶は死なない/半導体に記憶をアップロードする/「意識」をコンピュータ上に再現/片方の脳だけ機械に差し替える試み/不老不死は楽園なのか?
第五章 科学が解明した「長寿の生活習慣」
大谷翔平の「寝る力」/日本人は睡眠で損をしている/睡眠不足で加齢は加速する/「レム睡眠」の減少は認知症リスク/睡眠負債という概念/睡眠負債を減らす方法/明るすぎる日本の夜/睡眠はわからないことだらけ/体内時計を整える/時計遺伝子がリズムを作り出す/体内時計の狂いで免疫力低下/「光」を浴びて切り替える/「バランスの良い生活」って?/排便と認知症リスク/6つのバランス要素/「社会的なつながり」が寿命を延ばす
第六章 「長すぎる老後」をどう生きるか?
長寿は幸せか?/運動で幸福度を上げる/多様性のある食事/重要なのは「主観的幸福感」/社会的孤立で認知機能低下/脳に「手遅れ」はない/修道女の脳からわかったこと/モチベーションを維持するためには/テクノロジーの進歩で幸福感が減る/「思春期」が存在する理由/もういちど「思春期」を取り戻す/後悔が残るくらいがちょうどいい/死ねないことの苦しみ/生きる苦しみから解放されるのか?
エピローグ
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