電子書籍

池田大作と創価学会

カリスマ亡き後の巨大宗教のゆくえ

価格:※各書店サイトで確認してください
発売日2024年02月16日
ジャンルノンフィクション

平和の使者か、俗物か? 誰よりも人の心をつかんだ男の魅力に迫る

平和の使者か、俗物か?
誰よりも人の心をつかんだ男の魅力に迫る

日本最大の新宗教、創価学会の池田大作名誉会長が2023年11月15日に95歳で死去した。
創価学会内で「永遠の師匠」とされる池田は、さまざまな毀誉褒貶に彩られた人物だった。
「貧乏の横綱」と自嘲するほど赤貧の出身ではあったが、20代後半に創価学会に入信して人生が大きく変わる。1960年に32歳の若さで第3代創価学会会長に就任。以降、親しみやすい人柄と巧みな弁舌を武器に、「折伏大行進」の先頭に立って組織拡大に邁進し、会員世帯数827万(公称)もの信者を獲得するに至る。田中角栄をはじめとする政治家や松下幸之助ら実業家など、有力者も池田に魅了された。さらには公明党を創設し、念願の政界進出を果たした。
一方で、強引な折伏によって各地でトラブルが発生した。また、政教一致と受け取られかねない創価学会の主張は世論の大きな反発を招いた。池田は創価学会への批判を封じ込めようとして「言論出版妨害事件」を起こし、逆に世間から猛反発を招いたあげく、ついには政教一致路線を公式に撤回せざるを得なくなる。以降、創価学会は「世界平和」を掲げ、池田は「平和の使者」としての顔を前面に打ち出すようになった。
組織内の権力闘争も波紋を呼んだ。稀代のケンカ師でもある池田は、かつての仲間であっても、みずからを批判する者には容赦ない攻撃を加え、追放した。また、創価学会はもともと日蓮正宗の信徒団体から生まれたにもかかわらず、日蓮正宗とは泥沼の争いを繰り広げ、最終的に創価学会は破門されてしまう。
それでも創価学会は、池田のカリスマ性によって求心力を保ってきた。ポピュリズムを先取りした池田は「庶民の味方」として振る舞い、創価学会は次第に「池田ファンクラブ」の様相を呈して行く。
しかし2010年以降、高齢の池田は表舞台から姿を消してしまう。それ以降、創価学会は「集団指導体制」に移行し、池田の直接指導なしでも運営できる態勢になった。
だが、それと軌を一にするように、創価学会に異変が起きる。池田を軽んじ醒めた目で創価学会を見る宗教2世3世の増加、選挙活動における集票力の低下、さらには会員の高齢化……それらが組織力の低下に拍車をかけている。
池田大作とはいったい何だったのか? そして、ポスト池田の創価学会はどうなるのか――?


【本の話🎙ポッドキャスト】

<5分で聴く♪文春新書>

強烈なリーダーシップによって創価学会を日本最大の新宗教に育て上げた池田大作名誉会長が、2023年11月15日、95歳で死去しました。

池田氏はカリスマであるがゆえに、さまざまな毀誉褒貶に彩られ、極端な批判か礼賛ばかりが溢れるという状況が続いてきました。そんな状況に一石を投じるのが、新進気鋭の宗教ジャーナリスト、小川寛大氏です。

小川氏は膨大な資料を渉猟し、創価学会関係者にも丹念な取材を重ねて、「池田大作とは何だったのか?」というテーマに正面から取り組みました。

『池田大作と創価学会 カリスマ亡き後の巨大宗教のゆくえ』が描くのは、良くも悪くも人間臭いエピソードに彩られたリアルな池田大作像です。一方で、創価学会に異変が起きています。池田氏を知らない〝醒めた宗教2世3世〟の増加、選挙活動における集票力の低下、さらには会員の高齢化……それらが組織力の低下に拍車をかけているのです。

では、この巨大組織は池田氏亡き後どうなるのか?――小川氏が見立てを語ります。(聞き手:織田甫・文春新書編集部)

著者

小川 寛大

1979年熊本県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。宗教業界紙「中外日報」記者を経て、2014年宗教専門誌「宗教問題」編集委員、2015年同誌編集長に就任。著書に『南北戦争アメリカを二つに裂いた内戦』(中央公論新社)、『創価学会は復活する!?時代に取り残される新宗教』(共著、ビジネス社)など。

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