事件発生から58年を経て、ついに再審判決の時を迎えた「袴田事件」。支え続けた姉・ひで子さんの献身、死刑判決を書いた元裁判官の告白と謝罪など、袴田巖さんが確定死刑囚のまま釈放された2014年以降の密着取材で浮かび上がる、「再審無罪」への長き戦いの物語。
9月26日、戦後最悪の冤罪事件「袴田事件」の再審判決が下ります。1966年に袴田巌さん(88)が強盗殺人・放火の疑いで逮捕されてから58年――事件の深層を丹念に解き明かし、袴田さんをめぐる人々の感動的な物語を描いたノンフィクション『袴田事件 神になるしかなかった男の58年』が仕上がりました。 拷問に近い取り調べて”自白“させられ死刑を宣告された袴田さんは、徐々に精神の変調をきたします。〈机のろうそくに火が点けられた。これが燃え尽きるとわたしは死ぬし、世界は滅びるのだと思っていた〉(1981年11月8日)。あまりの苦悩に苛まれた袴田さんは、次第に自分自身を「全知全能の神」と思い込むようになります。ジャーナリストの青柳雄介さんは、まだ袴田さんが獄中にいた18年ほど前から取材を開始。2014年に再審と釈放が認められてからは、静岡の袴田さんの自宅近所に移住して密着取材を続けてきました。作品の舞台裏を青柳さんが語ります。
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