書名(カナ) | ハカマダジケン カミニナルシカナカッタオトコノゴジュウハチネン |
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ページ数 | 288ページ |
判型・造本・装丁 | 新書判 |
初版奥付日 | 2024年08月20日 |
ISBN | 978-4-16-661453-0 |
Cコード | 0295 |
1966年6月30日、静岡県清水市の味噌製造会社専務宅が全焼し、焼け跡から一家4人の刺殺体が見つかった「袴田事件」。警察は味噌工場従業員の元プロボクサー、袴田巌さん(当時30歳)を逮捕。68年一審で死刑判決、80年上告棄却で死刑が確定したが、袴田さんは公判以降一貫して無実を訴え、姉のひで子さんや支援者、弁護団は再審請求の長い戦いを続けてきた。
81年からの第1次再審請求は棄却(08年最高裁)。14年3月に第2次再審請求審一審で「再審開始」が決定、袴田さんは48年ぶりに釈放された。
しかし確定死刑囚として長期間にわたって常に死の恐怖を強いられた拘禁症状で、かつては明晰な文章で支援者への手紙を綴っていた袴田さんは、「袴田巌はもういない。私が全知全能の神、唯一絶対の神だ」「死刑制度も監獄も廃止された。袴田事件なんか最初から無いんだ」と語るようになり、釈放後も変わらない。
しかも14年3月の釈放に対して検察は即時抗告し、18年6月には東京高裁が「再審開始決定」の取り消しを決定。20年12月に最高裁が高裁決定を取り消して差し戻し、ようやく23年3月に高裁が再審開始を決定。目下、10月末から静岡地裁でやり直し初公判が開かれている。
事件から57年、獄中に47年、再審を決めるのに実に42年もの月日を費やした「袴田事件」。東京高裁の再審開始決定でも異例の捜査機関による証拠ねつ造の疑いにも言及されたにもかかわらず、未だに検察の無謬性と組織防衛的な訴訟指揮が行われている。
袴田巌さん釈放時から清水市に移住、数年にわたって密着取材を続けた著者が、生い立ちから訴訟の時間的経過を軸に、終始無実を信じて長きにわたる戦いの核となってきた姉ひで子さんや、事件によって大きく人生が変わってしまった元裁判官らの物語、その他の再審請求事件とも共通する〝冤罪の構造〟といった論点を描く。
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