風が鳴った。平蔵は愛刀の鯉口を切る。雪か? 闇の中に刃と刃が噛み合って火花が散った──。 著者の逝去によって「鬼平」シリーズ最終作品となった未完の長篇〈誘拐〉。そのほか、おまさ・お熊が活躍し、平蔵の腹違いの妹・お園の婚礼も登場する女づくしの「女密偵女賊」。おまさの亭主と同名の五郎蔵が役宅の髪結いに。緊張感あふれるなかにも、どこかユーモラスな「ふたり五郎蔵」を収録。また一巻目から読み返したくなる、充実の最終巻!
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