プロ野球で、今シーズンオフのFAの目玉となった投手・結城憲吾のスポーツ代理人として、マスコミをにぎわす男、善場圭一。彼は、プロの世界に身を置いたものの一年で引退。その後は代理人に転じ、業界でも一風変わった存在として知られている。「選手の評価は、年俸で決まる」と言いきるその姿勢は、金の亡者「ゼニバ」と蔑まれ、忌み嫌われている。だが、その実態は、悪役に徹して選手の盾となることで、選手からは絶大の信頼を寄せられるスポーツ代理人である。結城のFAが大詰めを迎えたとき、突如スポーツマネージメントの大手、グリーンパークのやり手女社長羽田貴子と、彼女とCMの契約を結んだ結城に、善場は呼び出され、羽田から意外な提案を受ける。それは、結城と並ぶ球界の盟主・東都ジェッツの元四番だった瀬司の行方を探してほしいという依頼だった。もし、瀬司を見つけ出したら、結城からグリーンパークは手を引いてもよいという破格の条件だ。だが、善場には、以前、代理人契約をしていた瀬司と羽田にまつわるある苦い思い出があった。瀬司の捜索を引き受けた善場に、羽田は、瀬司が生前、自分に何かあれば、瀬司に手渡すようにと伝えていたというリストを善場に手渡す。善場は、そのリストをたどるうち、一人の甲子園優勝投手の自殺に行きあたるが……。サムライ野球文学賞を受賞した『ノーバディノウズ』、そして、二宮清純氏や玉木正之氏など、多くのスポーツライターが、絶賛した『球界消滅』で話題となった本城雅人が、金銭と、野球。そして、代理人制度。野球のストーブリーグにおける陰の主役の知られざる実態をあぶりだしつつ、その裏に描かれる駆け引きを、プロ野球選手たちの身に降りかかった事件を通して描く傑作スポーツミステリー。
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