ウーパールーパー、カエル、蛾、蝶と、ちょっと不思議な生き物を飼う人々が、いつしかその生き物たちに依存するかのごとく、不穏な領域に踏み込んでいく姿を描いた異色連作集。
全米図書賞受賞で話題の作家の最新作。
夫との生活に疲れた中年女は、家にいた毛虫に「トーマス」という名前をつけて飼うようになった。トーマスへの愛着が深まることで、なじんでいると思っていた夫のことが、いままでとは違って見えてくる。夫の本心とは何なのか。夫の好きなものは何か。夫は何に関心があるのか。夫は何も関心を持っていないかもしれない。じゃあ、わたしは夫の何に関心があるのか。何もないかもしれない。わたしは自分に対しても関心を持つことができない。どうしてこんなことになってしまったんだろう。何がいけなかったんだろう?
疲れた。ほんとうに疲れた……。中年女の心情をリアルに描く――「イボタガ」。
ウーパールーパーに「アポロ」という名前をつけたコンビニで働く青年の話――「ウーパールーパー」。
シングルマザーの母親との軋轢にもめげず、健気に生きていこうとする少年の話――「イエアメガエル」。
「トーマスは羽化しませんでした」という謎のメッセージと共に妻に去られた中年男の話――「ツマグロヒョウモン」。
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