作品紹介

長く外科医を務めた父が倒れた。家族の駆け付けた病院には兄の姿だけがなかった(ディア・ドクター)。医療をテーマに紡ぐ、ほのかな毒とユーモア――。著者の魅力が凝縮された傑作5篇。映画『ディア・ドクター』のアナザー・ストーリーにして直木賞候補作。書き下ろしのあとがきを加えた新装決定版。解説・笑福亭鶴瓶

担当編集者より
2006年に映画『ゆれる』を観て、多くの観客がそうであったように、私も衝撃に打たれました。人間の危うさと美しさを同時に描き出すドラマチックで緻密な脚本。演技を超えた俳優の魅力を引き出す演出。映画監督・西川美和は映画ファンを熱狂させました。その西川監督の新作を心待ちにしていた09年、新作の公開に先立って刊行された、映画のアナザー・ストーリーに当たる小説集『きのうの神さま』を読んで、私は二度目の衝撃に打たれました。よくある映画のノベライズとは次元の違うものだったのです。品良く、簡潔な文章。巧みな人物造形。物語世界を豊かにする意外性のあるディテール。読み書きを好んで重ねてきた“作家”にしか書きえない“小説”でした。小説家・西川美和は小説業界を沸き立たせ、本作は直木賞候補となるなど高い評価を得ました。そんな、われわれ読書人にとっても思い出深い作品が文春文庫に登場です。本書のために書き下ろした「あとがき」は読み応え十分ですし、映画『ディア・ドクター』の主演を務めた笑福亭鶴瓶さんの「解説」は、人間・西川美和に迫った素晴らしい内容です。未読の方は勿論、既読の方も楽しんでいただけるはず。この機会に是非
目次
「1983年のほたる」
村から市内の塾へ通っているわたしは、通塾に利用するバスの運転手が苦手だった。ある日、わたしはその運転手から「りつ子さん」と不意に名前を呼ばれる。

「ありの行列」
「誰にも言わんから、死ぬ注射打って」村医の代診のために僻村を訪れた医師が出合った意外な言葉、その真意とは。

「ノミの愛情」
夫は、世間では名医と呼ばれる外科医だ。そんな“非の打ちどころのない”夫を支える私には、他人には言えないある秘密が。

「ディア・ドクター」
長く外科医を務めた父が倒れた。家族の駆け付けた病院には兄の姿だけがなかった。父に憧れ、かつて医師を目指した兄は今――。

「満月の代弁者」
人口2,500人足らずの、ある古い港町の診療所に新任の医師がやって来た。立派な銀髪と口髭を蓄えたその医師は、“正真正銘のベテラン”だったのだが……。


解説 笑福亭鶴瓶

文春文庫版のためのあとがき

著者

西川 美和

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