ギッちょん

1,705 (税込)
発売日2013年03月12日
商品情報
書名(カナ) ギッチョン
ページ数 232ページ
判型・造本・装丁 四六判 上製 上製カバー装
初版奥付日 2013年03月10日
ISBN 978-4-16-382020-0
Cコード 0093

今年度野間文芸新人賞作家、注目の問題作

著者・山下澄人は北海道などを拠点に活動を続けてきた劇作家、演出家、兼俳優。その劇を観に通っていた編集者のすすめで書いた小説『緑のさる』(平凡社)で昨年末に野間文芸新人賞を受賞した注目の書き手です。今回の作品集の表題作「ギッちょん」は第147回芥川賞候補作にもなりました。「ギッちょん」は、ある男の一生が、時系列をシャッフルして語られます。腕白な少年時代、荒れた十代、放浪の青春時代、ホームレスになった四十代、清掃業に就き静かに死を待つ晩年の情景が次々にたちあがってきて、次第に胸がしめつけられるような心持になります。「水の音しかしない」は、サラリーマンの不条理劇のようにはじまりながら、やがて読者は大震災後の混沌とした世界に連れて行かれていることに気付きます。「トゥンブクトゥ」では、街の雑踏で交差していた老若男女さまざまな人々の思惑が、やがて暴力的なものに変容し、決着をつけるかのように、皆が海辺へと向かいます。読むたびに変貌をとげるこの作品群は、小説の新たな地平を切り拓くことになるでしょう。

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担当編集者より

2011年に初めて小説を発表して以来、芥川賞候補、野間文芸新人賞受賞と、忽ちのうちに評価を高めている山下澄人氏ですが、創作者としての活動は長く、劇作家・演出家兼俳優として劇団FICTIONを主宰してきました。絵や映像でも尖鋭的な作品を発信しています。考え続け、新たな世界を提示し続けるそのありかたをあえて名付ければ「芸術家」となると思います。アイフォンで書かれた作品群は、書く道具の新しさと作品の新しさが不可分の、脳味噌がシャッフルされるような、かつ確かな美しさを備えた小説です。(KH)

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