単行本

水色の娼婦

1,870 (税込)
発売日2013年09月09日
商品情報
書名(カナ) ミズイロノショウフ
ページ数 400ページ
判型・造本・装丁 四六判 小口折 並製カバー装
初版奥付日 2013年09月10日
ISBN 978-4-16-382310-2
Cコード 0093

戦争に翻弄された美貌の混血ダンサー波乱の生涯

日露戦争で活躍した軍艦「日進」と「春日」。この二隻はアルゼンチンから日本に寄贈されたもので、その縁で来日したアルゼンチンの海軍軍人と知り合った一人の日本人女性が、ブエノスアイレスへと渡ったことは歴史上の事実である。そのふたりの間に生まれた、エヴァ・ロドリゲスが本書の主人公。早くに母を亡くした彼女は、ある事件をきっかけに自身の出生の秘密を知り、タンゴ・ダンサーとして、娼婦として生きていくことを決めた。
やがてエヴァは活躍の場を、ベルリンへと移し、老舗のタンゴ・バー「エル・スール」を拠点に踊り、国内外の要人たちと夜を共にする。そこで出会ったのが、昭和通商なる会社に勤める吉川公夫だった。日本陸軍の予備役であるという彼に運命を感じたエヴァは、その関係にのめりこんでいくが……実は、吉川の正体は諜報員であり、国際社会から孤立を深め、対ソ連、対アメリカとの戦争へと突っ走る勢力に必死の工作を繰り返し、時には多重スパイも辞さない危険な男だった。
愛する吉川のため、あるいは母のルーツで祖国・日本のため、エヴァは時にナチス政府の要人から、時にゲシュタポ(秘密警察)の高官から、ベッドの中で偽りの愛をささやき、情報を引き出すようなる。エヴァだけではなく、他にも同じような女スパイが、当時のヨーロッパでは暗躍していた。また吉川は、同じ志を持つ者たちと密かに通じ、エヴァにさえ知らせず、ドイツ国外でも精力的に活動を行うが、日本の対ソ・対米戦争への流れを止めることができず、やがて二人に別れが――。
そして半世紀を経て、ベルリンの壁の崩壊後、年老いたエヴァから、その驚くべき人生を聞き取ることになったのは、ある日本人男性ジャーナリスト。その姿は近代史の闇をノンフィクション・ノベルに仕立て、世に問うてきた著者自身の姿にも重なる。エヴァが、吉川が本当に守ろうとしたものは何だったのか? 改めて平和な現代に問いかける傑作長編!

目次

序章
水色の娼婦
青蛙の涙
ブルー・ゼブラ
デア・アングリフ
オデッサから来た密使
旧友
ヴァイマールの遺跡
見果てぬ夢

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担当編集者より

マスコミを騒がした麻生氏の発言に出てきた「ワイマール」ですが、日本人にとってそれほど馴染み深いものではないでしょう。しかし、本書の主人公で長年ベルリンに暮らすエヴァ・ロドリゲスにとっては、恋人だった吉川公夫との思い出が、この遺跡のあちこちに詰まっています。そもそも、美貌のダンサー兼娼婦として人気を誇った彼女が、かつて国内外の要人たちと一夜を共にし、入手した情報にどんな意味があったのか――大戦下の欧州における日本の諜報戦略が浮かび上がる傑作ノンフィクション・ノベルです。
(M・K)

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