作品紹介

星の数ほどあるケーキの種類のなかでも、不動の人気を誇る「苺のショートケーキ」。「和菓子のアン」シリーズなど、甘いものを描いた作品に定評のある著者による、誰しも思い出のひとつやふたつはあるだろうショートケーキをめぐる5篇の連作集です。
大学生の<ゆか>と<こいちゃん>はどちらも、母との二人家族。父が出て行ってから買えなくなったホールケーキを求めて、ふたりは<失われたホールケーキの会>を結成、切れていないケーキを楽しんでいる。ある時、離れて暮らす父親から、「大事な話がある」と連絡があり……。(「ホール」)
俺が働くケーキ屋では、残りがちなホールケーキを予約なしに買ってくれるお客さんを天使と呼んでいる。天使の中には常連もいて、女子大生と思しきその二人組が俺は気になっている。どうやら彼女たちは、丸いホールのケーキにこだわっているようなのだ。(「ショートケーキ。」)
ケーキ屋で働く私には、嬉しいことがあったときにひとりで行う「趣味」がある。ケーキを冒涜しているようで人には言えないのだが……。
(「追いイチゴ」)
ママになった瞬間からさまざまなことがままならなくなった。大好きなショートケーキをもう一度ひとりでゆっくりと味わいたい。その願望を実現すべく、<あつこ>は二人のママ友と互助会を結成する。(「ままならない」)
央介の口癖は「嫁に行きてえ」、何事にも受け身で生きてきた28歳の会社員だ。ある時、領収書の不備を指摘されたのをきっかけに、会社の経理担当の女性のことが気になり始める。弟の学費を捻出するために倹約弁当を続ける彼女だが、どうやら本当はショートケーキが食べたそうなのだ。 (「騎士と狩人」)

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担当編集者より
突然ですが、スマホを出してみてください。そして、「ケーキ」と文字入力してみると、絵文字の第一候補として表示されるのは……そう、イチゴのショートケーキ。ことほど左様に、「日本人にとって、ケーキといえばショートケーキ」なのです。
このエピソード、実は、本書『ショートケーキ。』に登場するもの。
こよなく甘いものを愛する作者の坂木司さんは、いわば「最大公約数」的存在のショートケーキに苦手意識を持っていた時期もあったといいます(おいしいから、出されたら食べちゃうけど、だそうです)。
そんな著者が紡ぐ5篇は、ですから、単に甘やかで幸福なだけではありません。登場人物たちが滲ませる日々の少しのやりきれなさ、寂しさ、生きづらさは、きっと誰しも覚えのあるものでしょう。彼、彼女らはショートケーキを食べる、日常の小さな穴を埋めるために。
ショートケーキ一個分の優しさをもたらす本書を、どうぞご賞味ください。


目次
「ホール」「ショートケーキ。」「追いイチゴ」「ままならない」「騎士と狩人」
商品情報
書名(カナ) ショートケーキ
ページ数 192ページ
判型・造本・装丁 四六判 上製 上製カバー装
初版奥付日 2022年04月10日
ISBN 978-4-16-391524-1
Cコード 0093

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