担当編集者より

宮城谷昌光さんは、中国歴史小説の第一人者。『三国志』全十二巻の大河小説を出しているが、この『三国志名臣列伝　蜀篇』は、まさに珠玉の一冊となった。
　関羽、張飛、諸葛亮、趙雲……。
　千年以上の時を超えて、いまも世界中で語り継がれている男たちの姿は、意外と知られていない。関羽にしても、張飛にしても、確かな資料が少なすぎる。それでも宮城谷さんは、作家としての飽くなき探求心と想像力で、「無垢の人」である劉備玄徳と、劉備を愛した男たちの真実に迫った。
――「玄徳はめずらしいほど無垢な人なのだ」と、関羽は感動した。けがれる一方の世の中で、どこまで無垢をつらぬいてゆけるか。みとどけたくなった……（「関羽」より）。
　裏切られるとは、微塵も思わない。おたがいの信頼は、何があろうとも揺るがないのだ。最高純度の関係性の核心には、圧倒的な輝きがあります。