書名(かな) | きくちかんあんどかんぱにー |
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ページ数 | 512ページ |
判型・造本・装丁 | 四六判 上製 上製カバー装 |
初版奥付日 | 2025年06月10日 |
ISBN | 978-4-16-391988-1 |
Cコード | 0095 |
ベストセラー作家にして、100年つづく企業(カンパニー)を創ったベンチャー起業家、菊池寛。
彼を支え、そして彼に支えられた仲間(カンパニー)たちとの友情、そして別離……。
高名な文人を祖先にもつ家系ながら、維新で没落した士族の家に生まれた菊池寛。
家計が厳しく、何度も人生の遠回りを余儀なくされた彼が、念願の旧制第一高等学校に入学したとき、すでに23歳になっていた。
その一高の寮で、芥川龍之介、久米正雄、成瀬正一など、文学を愛する仲間たちと出会う。
ところが、寮でマントが盗まれた事件に巻き込まれた菊池寛は、一高を自主退学。
ひとり孤独な日々を送る菊池寛に、小説を世に問う場を与えたのは、一高で出会った仲間たちだった。
「恩讐の彼方に」「真珠夫人」などを発表して、一躍、文壇の最前線に躍り出た菊池寛は、大正11(1922)年、「私は頼まれて物を云ふことに飽いた」と宣言。若い仲間たちと新しいメディアの創設に乗り出す。
「厚くて高い雑誌よりも薄くて安い雑誌が売れる」と見抜くマーケティングのセンス。
編集後記を双方向メディアとして使い、読者とのコミットメント(関わり)を強化。
読者に予約購読を呼びかけ、一種のクラウドファンディングとして資金を調達。
大きく広告をうって、部数増→定価引き下げ→さらなる部数増、という好循環を狙いつつ、広告効果の検証も怠らない。
各地で文芸講演会を開催して、読者とのコミットメントを強化しつつ、作家には講演料という新たな収入源をつくるウィン・ウィン戦略。
菊池寛は、現在のビジネス戦略にも通じる施策を、次々と展開していった。
渋沢栄一、小林一三など、近代日本の傑出したイノベーターを描いてきた著者が、新たな視点で描き出す、「100年前のネットメディア」を生み出した菊池寛と。それを取り巻く仲間たちの姿。
1 オルタナティヴな雑誌
2 月給八円の呪い
3 百舌の博士
4 英語天才伝説
5 恋する18歳
6 マント事件
7 空白の四日間
8 京都の孤独な夜
9 「無名作家」の見た曙光
10 砂を嚙む日々
11 旭日昇天の新進作家
12 『真珠夫人』創作秘話
13 拡大版「菊池寛アンド・カンパニー」
14 創刊
15 ブルジョワ経営者
16 菊池寛帝国が崩壊?
17 総合雑誌へ大転換
18 芥川の死
19 株式会社化
20 社内粛清
21 菊池寛の女性関係(仮)
22 芥川・直木賞宣言
23 満州事変と言論弾圧
24 創刊十五周年
25 昭和十二年の「空気」
26 怖ろしい時代の予感
27 「文藝春秋」休刊
28 菊池寛なき文藝春秋
29 菊池寛、逝く
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