作品
地域開発か自然保護か。大雪山新縦貫道建設に挑む若き技師・井波。その心を乱す雲子。苦悩を癒す祥子。理想に燃える青年の夢と挫折を大雪山を舞台に描く清冽なロマン。(辻井達一)
表題作のほか「聴診器」「球菌を追え」「葡萄」「小脳性失調歩行」「医師求む」「書かれざる脳」の六篇を収める。医者としての体験を素材とし、ペーソスとユーモアが交錯。(藤田昌司)
男と同棲しながら成熟した時を迎えた聖子に新しい愛が芽ばえた。女は同時に複数の男を愛せるものか。二人の男の間で揺れ動く女の微妙な心理を描く長篇ロマン。(森開逞次)
北海道大雪山の“新縦貫道路”建設に働く青年技師の自然保護に賭ける真摯な夢と挫折を描いた長篇。峰々に谺する清冽な男のロマン
身障者と呼ばれる我が子をみまもる桐野夫妻、幼い生命を救うために医学の限界に挑む若き外科医、人間の悲しみを見尽した医長――人間の永遠のテーマに挑む長篇。(林富士馬)
妻子ある男との恋はなぜ許されないのか。人目をしのぶデイトにも女の歓びがあるが、男を独占したいと思った時から傷つく旅が始まる。京の四季を背景にしたロマン。(森開逞次)
性そのものへの執着を、解剖学的にあるがままに描く著者の本領を示す作品集。「失われた椅子」「【ぼ】趾反張女仏」「タコ」「死絵三面相」「ムラ気馬」「腕の傷」の六篇を収録。(川西政明)
孤高の作家に惹かれ同棲生活に入った二十四歳の聖子。五年後の今、新しい恋が生れつつある。二人の中年男の間で揺れる微妙な女心
富士山麓のジェット旅客機墜落事件を背景に、平凡な一市民がいつまきこまれるかもしれない、現代の権力機構の恐怖を描き出して、狂気の淵をのぞかせる異色長篇。(川西政明)
一人は腕を切断されて軍籍を去り、一人は切断されずに栄光の道を歩むという人生の明暗を描いた直木賞受賞作「光と影」のほか、「宣告」「猿の抵抗」「薔薇連想」を収録。(小松伸六)
同じ傷を負いながら病院でのカルテの順序がもとで成功者と敗残者に分かれた二人。些事がもたらした人生の明暗を描く直木賞受賞作
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