作品
北海道の大自然を舞台に、獰猛で巨大なヒグマと猟師の息づまる対決を、実際の事件に材をとって描いた迫真の短篇集。「朝次郎」「安彦」「与三吉」「菊次郎」「耕平」他二篇。(川合多喜夫)
歴史や自作のこと、さまざまな人たちとの出会い、酒や食べ物のことなど、感動的な話、意外な話、ユーモアたっぷりの話がいっぱい
肉親の死、戦争による死、突然の死……さまざまな死に鋭い観察の目を向け、人の生の不条理を円熟した筆致で描く短篇集。「金魚」「煤煙」「秋の声」「標本」「緑雨」他五篇収録。(桶谷秀昭)
綿密な取材ぶりで知られる著者が、それらの旅で掘り起こした意外な史実の数々、出会ったすばらしい人々、そしてその土地のおいしい食物と酒の話など滋味豊かなエッセイ集。
葬式好きの少年と薄幸な少女の淡い心のふれ合いを描く表題作など、鋭い感覚と厳密な文体で現実と幻想が交叉する世界をつむぐ。「服喪の夏」「水の匂い」「青い街」他四篇収録。(川西政明)
中学三年生の小柄な少年は、ダブダブの軍服に身を包んで戦場へ出た……。凄惨な戦いとなった太平洋戦争末期の沖縄戦の実相を、少年の体験を通して描く長篇。(福田宏年)
昭和十九年、巡洋艦の機関兵が小樽郊外の山中で餓死した。長い歳月を経て、一片の記録から驚くべき事実が明らかになる。「鋏」「白足袋」「霰ふる」「果物籠」「飛行機雲」他一篇。(曾根博義)
ペリー来航の本当の理由、戦艦陸奥爆沈の真相、桜田門外の変にひそむ意外な事実など、歴史小説に新しい世界を拓いた著者が綿密な取材の過程で発見したとっておきの歴史秘話。
慶応四年、榎本武揚、土方歳三らにひきいられた旧幕艦隊は宮古湾に停泊する新政府艦隊に奇襲を試みたが……。歴史秘話を描く長篇
大正七年に着工し、予想外の障害に阻まれて完成まで十六年を要して世紀の難工事といわれた丹那トンネル。その土と人との熱く凄絶な闘いをみごとに捉えた力作長篇。(谷田昌平)
男は癌に冒された妻と二人、最後のドライブに出かけた。ありふれた日常生活に潜む不意の出来事を描く短篇集。「踏切」「朝食」「歩道橋」「奇妙な旅」「黒いリボン」他三篇収録。(金田浩一呂)
生を享けて半世紀余、身近に経験したさまざまな死に、深い観察の目を向け、熟成した筆致で文学空間にすくい上げた興趣深い短篇集
ペリー来航の五年も前に、鎖国中の日本に憧れて単身渡来した風変わりなアメリカ人と、その周辺を通して、日本が開国に至る意外な史実を描いた長篇歴史小説。(曾根博義)
第二次大戦中、ハルピンを本拠に、細菌を兵器として使うべく、捕虜を生体のまま実験に使った悪魔のような計画の実態と、その開発者の人間像を描く異色長篇。(赤瀬川隼)
大正末期、千葉の寒村で凶悪殺人犯が数千人の警官をしり目に逃避行を続けた“鬼熊事件”に材を取る表題作ほか、「海の奇蹟」「鷺」「十点鐘」「炎と桜の記憶」など七篇を収録。(小笠原賢二)
幼少年期を過ごした大都会の中の懐かしい“ふるさと”。夏祭り、物売り、映画館、正月、火事などなど、昭和の初めの日暮里近辺の思い出の数々を、愛惜の念をこめてえがく風物詩。
漂流船に生き残った船長と船員、死を目前にした重病人など、生のゆきつく果てをみた人びとを動かす不可解な心の力学を鮮烈に描く。「帰郷」「赤い眼」「花曇り」他三篇収録。(曾根博義)
昭和十九年、小樽郊外の山中で海軍機関兵が餓死した。彼はなぜ停泊中の艦にもどらず、そのような最期をとげたのか。ほか六篇収録
大正七年から完成まで十六年の歳月を要した世紀の難工事・丹那トンネル。その土と人との熱く凄絶な闘いをみごとに捉えた力作長篇
(上を参照)
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