作品
今日的な視点に立ち、独自の史観と厖大な未発表資料を駆使して、昭和前期の現代史を書いた不朽の労作。第一巻は「陸軍機密費問題」「石田検事の怪死」「朴烈大逆事件」を収録。
昭和二年、芥川の自殺を昭和史の一こまとして捉えた「芥川龍之介の死」。未解放部落問題の歴史的な事件「北原二等卒の直訴」。田中内閣の思想弾圧「三・一五共産党検挙」。
いわゆる「もく星」号事件は一応落着したが、その背後には、恐るべき事件が隠されているのではないか。その謎の解明に挑戦したドキュメンタル・フィクション完結
一九五二年四月、日航機もく星号が伊豆大島に墜落した。朝鮮戦争のさなかのこの事故は、はたして偶然か、謀略か。数々の資料によって真相に迫るドキュメンタル・フィクション。
(上を参照)
選挙資金を持ち逃げした木谷は、潜伏中に旅館の女中と親しくなった。彼女から聞いた比礼神社の占いで儲けた彼は、モーテル・ブームに目をつける。新旧の風俗をとりいれたスリラー。
戦国から維新まで、天下分け目の九つの合戦を幅広い史料で描く好読物。「長篠合戦」「姉川の戦」「山崎の戦」「川中島の戦」「厳島の戦」「九州征伐」「島原の役」「関ヶ原の戦」「西南戦争」収録。
コツコツと働いてやっと暮らせるようになったのに、召集令状が来た。その裏になにがあったか。カラクリを知った彼は、敗戦後の虚無のなかで、ある計画に着手した。(安間隆次)
夜の軽井沢で野鳥の声を録音しながら連句を楽しんでいた仲間は、集音機に男女の睦言が混じっているのに気づいた。意外な展開をみせる「二つの声」、麻雀の誘惑に破滅する「弱気の虫」。
闇の中からの妖しい笛の音にひかれて、高三の詩人ノッポは学校裏の沼で無残な死をとげた。その後あいついで起こる不思議な出来事。その謎を解くために活躍する高校生グループ。
津軽の砂の村、十三潟の荒涼たる風景は都会にうごめく人間の心を映していた。愛のない結婚から愛のある結びつきへ。“美しき囚人”亜矢子をめぐる男女の憂愁のロマン。(権田萬治)
敗戦後の混乱に乗じて大学用地の入手に成功した講師は、理事に抜擢された。金と権力への欲望が学内に渦巻き始める。「浮游昆虫」「閉鎖」「皿倉学説」「相模国愛甲郡中津村」「振幅」収録。
連れこみ旅館で聞いたエロテープは死の演奏の序曲だった。選挙違反のネットワークの謎を追って、舞台は日本各地を転々とする。政治と犯罪の関係を追及した推理長篇。(二上洋一)
小説が認められず苛立つ夫に、毎日の行動を執拗に追及される雑誌記者の妻。怯えからつい口にした嘘が、惨劇をひき起こす。「証明」「新開地の事件」「密宗律仙教」「留守宅の事件」収録。
『昭和史発掘』執筆に際して収集した膨大な資料の中から二・二六研究に不可欠な未公開資料を収録。1巻は戒厳司令部と軍法会議関係
夏の京都で、男と大文字見物を楽しんでいた人妻が失踪した。その日、夫は、三宅島へのヨットレースに挑んでいたが……。本格推理の醍醐味。「火と汐」「証言の森」「種族同盟」「山」収録。
夏の夜、青年はマイカーに一組のカップルを乗せた。あとに残されたペンダントには万葉の古歌が彫られていた。妖しい雰囲気にひかれて彼は奇怪な事件にまきこまれてゆく。
邪馬台国はどこにあったのか。学説を紹介しつつ、古代史のロマンと推理の面白さを結晶させた表題作は、清張古代史の原点である。「形」「陸行水行」「寝敷き」「断線」収録。(荒松雄)
村の断崖の下から血まみれの死体が発見された。それは五日前の深夜、トラックで東京の住宅地の玄関先につっこんだ若い運転手だった。事故と殺人を結ぶものは? 「熱い空気」を併録。
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