作品
国を出奔し食いつめた青江又八郎は口入れ屋の周旋で用心棒稼業をはじめる。趣向ゆたかな剣客物語の名品、一部二部を一巻集成する
初期士道小説名品の数々を網羅。直木賞受賞作「暗殺の年輪」をはじめ、この作家独自の藤沢調ともいうべき色彩は、ここにはじまる
人物描出の巧み。清洌・多彩な筆に加えた一刷けのユーモア。剣客小説の金字塔というべき「隠し剣」に、「たそがれ清兵衛」を併録する
小説づくりの名工の手になる、ゆるがざる小説世界。これこそ人生通の大人の物語。愛惜さそう忘れがたい情趣のすべてがここにある
藩中一、二を競い合う剣の遣い手が、奇しき運命の縁に結ばれて対峙する。男の闘いを緊密な構成と乾いた抒情で描きだす表題名品の他三篇。この作家、円熟期えりぬきの秀作集である。
清流と木立にかこまれた城下組屋敷。淡い恋、友情、そして忍苦。苛烈な運命に翻弄されながら成長してゆく少年藩士の姿をゆたかな光の中に描いて、愛惜をさそう傑作長篇。(秋山駿)
武家の妻の淡い恋ごころを帰らぬ燕に託してえがく名品「玄鳥」をはじめ、時代小説の第一人者であるこの作家の円熟期の傑作を四篇
小説の第一人者である著者が取材のこぼれ話から自作の背景、転機となった作品について吐露した随筆集。郷里の風景や人情などを綴る。
家督をゆずり隠居の身となった清左衛門の日記「残日録」。寂寥感にさいなまれつつ、命をいとおしみ力尽す男の、残された日々を描く
娘盛りを剣の道に生きたお以登にも、ひそかに想う相手がいた。手合せしてあえなく打ち負かされた孫四郎という部屋住みの剣士である。表題作のほか時代小説の佳品を精選。(桶谷秀昭)
藩中一、二を競い合う剣の遣い手二人が宿命でむすばれ対峙する。男の闘いを緊密な構成と乾いた抒情で描き出す表題の名品ほか三篇
清痩鶴のごとく住んだと評され、妻も子も持たぬまま逝った長塚節。旅と歌作にこわれやすい身体を捧げた短い生涯をくまなく描く、著者渾身の鎮魂の賦。吉川英治賞受賞作。(清水房雄)
木立と清流にめぐまれた組屋敷。淡い恋、友情、そして非運と忍苦。苛烈な運命に翻弄されつつ成長してゆく少年藩士を描く長篇傑作
軽輩の子・桑山又左衛門は家老職につくが、栄耀とはまた孤独な泥の道にほかならなかった。ある日、かつての同門野瀬市之丞から果し状が来る。運命の非情な饗宴を描く長篇。(皆川博子)
身を粉にしてむかえた四十代半ば、放蕩息子と疲れた妻、懸命に支えた家庭にしのびこむ隙間風。老いを自覚する日々、紙屋新兵衛の心の翳りを軸に、人生の陰影を描く長篇。(丸元淑生)
平穏無事な人の世にも、その一隅には闇へおりる梯子がかかっている。人間のはからいをこえ運命の糸にあやつられて奈落におちる男たち。この作家独自の色調でえがかれた人生絵図。
山師、策士と呼ばれ、いまなお誤解のなかにある清川八郎。しかし八郎は官途へ一片の野心さえ持たぬ草莽の志士でありつづけた。維新回天の夢を一途に追うて生きた清冽な男の生涯。
朝の光のなかで竹に縋り歩く稽古をする薄幸の娘。表題作のほか「馬五郎焼身」「おふく」「穴熊」「しぶとい連中」「冬の潮」を収める。市井の人々の哀切な息づかいをえがく名品集!
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