作品
喧嘩、口論、探し物、その他よろずもめごと仲裁つかまつり候。旗本の家を出奔し裏店にすみついた食いつめ者・神名平四郎の珍商売
ロッキード事件を予測したような内容の「棲息分布」は、時代の暗黒と混沌をみごとに描き出し、砂糖汚職にからむ、「中央流沙」は課長補佐の悲劇を浮き彫りにする。
日本現代史最大の主役・裕仁天皇の半生をタテ軸に、史上空前の激動の時代・昭和の五十余年を描いて興味津々の大河歴史ドキュメント
一主婦が突然文壇の脚光を浴び、著名なイラストレーター、或いは詩人が踊り出る——重兼芳子、尾辻克彦、吉行理恵氏ら異色作家の受賞作を含む全集最終巻を飾る七篇
立身出世美談と経営哲学の独自性で有名な経営者の隠し子をめぐって、億万長者と古美術商のからみ合い、さらに業者と鑑定家の癒着などミステリアスなタッチの長篇「雑草群落」
渡された場面/渦
江戸後期、ロシア船の出没する北辺の島々の開発に邁進し、数奇な運命をたどった北海の快男児、高田屋嘉兵衛を描いた雄大なロマン
異国での体験を基調に少年の眼で世界を眺めた三木卓氏の「鶸」。東北の一寒村に近代人の見失った民俗の中に、生と死の象徴を見出した森敦氏の「月山」ほか六篇。
召集令状のからくりを知った男の戦後の復讐を描く「遠い接近」。昭和初期の小倉を舞台に文学青年達をめぐる殺人「表象詩人」ほか「山の骨」「生けるパスカル」「高台の家」
週刊文春好評連載。歩く書斎・自家製辞典など、自在独自の読書法を語りつつ、今日の知の風景を様々に描き出すユニークな読書読物
コートに汗がはじける。恋がめざめる。青春という言葉に、みずみずしい息吹きを注ぎ、テニスをはじめて文学作品にした感動の長篇
大国ロシアと鎖国日本は、その接触早々から不幸な誤解を重ねた。ロシア使節の冷遇、その報道としての日本人村襲撃……。北の海で活躍する嘉兵衛の行手に暗雲が。
在日朝鮮人としての苦渋を清洌な文体で支える李恢成氏の「砧をうつ女」。豊かな感受性で、「オキナワの少年」の見た基地沖縄を描いた東峰夫氏他四氏の新しい文学
ピュリッツァー賞を受賞してますます快調に笑いを生み続けるコラムニストの、主としてカーター政権時代のアメリカ諸相を斬る快著
柳橋はずれの旅籠“かわせみ”に持ち込まれた怪事件の数々。江戸風物と人情、女主人るいと東吾の恋模様に彩られた新感覚の捕物帳
北海道の経営に乗り出した幕府の依頼を受け、嘉兵衛は東蝦夷からクナシリ、エトロフの海域に進出した。この海産物の宝庫でかれは理想の漁場の実現へ才能を注ぐ。
海外生活での不毛と倦怠を描く大庭みな子氏の「三匹の蟹」、巧緻な小説技法を示す丸谷才一氏の「年の残り」、青春文学の傑作庄司薫氏の「赤頭巾ちゃん気をつけて」他。
航海者として、また商人として実力を貯えた嘉兵衛は、ついに永年の夢であった北海道に上陸した。が、事件が起きた。幕府が東北海道の経営にのり出したのである。
革命幻想と不毛の恋を描いた柴田翔氏の「されどわれらが日々—」、女性の心理の襞を精緻に彫琢した津村節子氏の「玩具」など、文学の醍醐味を充分に満喫できる六佳作
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